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FAP療法

FAP療法と複雑性PTSD

FAP療法,  アダルトチルドレン,  トラウマ治療,  横浜   2021/06/07 (月)  3:25 PM

5月26日~29日までTrauma Research Foundation主催の第32回 国際トラウマ会議が行われていました。バーチャルでの開催でした。トラウマ治療の権威であるバンディアコーク先生が主催されている学会であります。

 

 

今年は初めてこちらの学会に、複雑性PTSDのケースに対しFAP療法を用いた事例をポスターセッションで学会発表をさせて頂きました。

 

 

世界の様々なトラウマ治療の先生方が学会発表をされていました。Ruth Lanius先生は、トラウマと脳機能についてご講演をされておられました。

トラウマを受けると自分を軸とした、重心を感じながら生きる事が難しくなるというのです。自分の内側の感覚と繋がりを感じにくくなってしまい、精神面での不安定さを感じやすく解離(感覚麻痺)という症状を抱えると仰っておられました。

 

 

重度の解離状態を抱えている場合、認知行動療法などの介入は難しく、アートセラピー等の感覚を用いたアプローチによって解離した感覚にアクセスしやすくなると仰っておられました。感覚的な部分からアプローチしていく事で、言語化しにくいトラウマの経験についてアプローチしやすくなるとの事でした。

また少しずつ先生方の学会内容を振り返って行こうと思います。

 

 

トラウマ治療に長年携わって来ました。

やはり面接場面で実感するのが、解離(感覚麻痺)してしまった感情や感覚をどう認識し、それを言葉で表現し吐露していくかという事は手が届きにくい側面があるなということでした。

 

 

またトラウマの問題の一つとして考えられるのが「否認」の問題かもしれないと思います。「否認」を持っている事で、人はそれを「考えないようにする」とか「いい方向に考えようとする」という形で問題を片付けようとしてしまう事は良くある事です。

 

 

だからこそトラウマの問題から一時距離を置いて、自分を保てるという事ができるのかも知れません。ただ一方「否認」の問題を抱えていますと、様々なトラウマの症状によって苦しめられるジレンマに陥ってしまうのですよね。頭で分かっていても、なかなか手が届かない事があるのです。

 

 

トラウマは「今」の日常生活の様々な面で影響を及ぼします。

人間関係、感情面、世界観など、幅広く影響を受ける。

ですのでトラウマの問題を抱え、その状況を乗りこなしながら日常生活を送って行くことは非常に困難になってしまう事が考えられるのです。トラウマの問題によって、問題が増幅してしまう事もあるのです。

 

 

今回、複雑性PTSDの問題を抱えた事例についてポスターセッションにて発表させて頂きました。その中でFAP療法はトラウマの問題、特に複雑性PTSDに対し短期間で有効に効果を発揮する療法であると実感しました。

 

 

FAP療法でトラウマ治療を介入して行くことで、解離症状(感覚麻痺)がありトラウマの感覚にアプローチ出来にくい場合でも、その手に届きにくいトラウマの記憶と感情を統合して行く事ができるという事です。

 

 

そしてトラウマの出来事を、今現在の自分から俯瞰した形で「言葉」として認知的側面からも表現できるのです。ですのでFAP療法で介入して行く事で、感覚的な部分と認知的な部分と両方の側面でアプローチして行くことができるのです。

 

 

大人のご自分が戦場のトラウマにいた頃を安全な形で振り返り、そのご自分を認め、当時の「何を感じ、どうしたかったか」を受け止め、認め、トラウマの過去を手放して行く。

 

 

そしてトラウマを糧にしながら「今」をしなやかに生きてく。

FAP療法のトラウマからの回復は、非常にパワフルなのですよね。

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