アダルトチルドレンとは、養育にふさわしくないいわゆる毒親の下で育てられた子どもが、家庭内で起きた暴力、親のケンカの仲裁、様々な虐待、育児放棄(ネグレクト)、過干渉などによって、成人してからも対人関係の中で生きづらさを抱えた人を指しします。
子どもが養育者と共に安心安全に成長できない家庭環境には、養育者自身が自分の心の問題に気づけていないことがあります。親が自分の心の問題に気づき、これではこの家族はダメになると自分を省みないかぎり、劣悪な家庭環境は継続し、子どもは恐怖から親の言うとおりにしないとまた暴力がはじまると自己を窒息させます。
こうした家族は機能不全家族と呼ばれ、機能不全家族で暴力や虐待に怯えながら後年、家庭内恐怖の抑圧がトラウマとなって日常的に生きづらさを抱える人が、アダルトチルドレンと呼ばれています。
アダルトチルドレンという言葉と私
1990年代の中頃に過労とメンタル不調により某企業を退職し、その当時読んでいた『疲労とつきあう』(飯島 裕一著 岩波新書)という本の中で、アダルトチルドレンという言葉にはじめて出逢いました。この出逢いがなかったら、自分の意志で自由に生きている現在の自分には出逢えず、家族や他者にとって都合のよいだけの人間のまま自分の可能性を浪費して、「人生は生きづらいもの、仕方ない」と薬物療法か何かで自分と社会(他者)のバランスを取ることばかりに力を捧げていたでしょう。
メンタル不調とアダルトチルドレンという言葉が、私と家族の関係を私に再考させ、何故こんなに親から拘束され、コントロール下に置かれ、厳格さと暴力、暴言の側でおびえながら生きることを親は私に与えるのかという疑問から、数々のトラウマの恐怖との過酷な戦いがはじまったのです。心理カウンセリングに通いながら数あるトラウマをひとつずつ克服してゆくと、手塚治虫の『どろろ』の主人公のように、目、口、鼻、耳、腕、足等の体の感覚が蘇り、自分が元どおりになってゆくと実感しました。それは自己を表現し、自己を肯定する喜ばしい本来の姿の私でした。
アダルトチルドレンという言葉は正しく、私と心理カウンセリングとの出逢いを作ってくれたのです。
これまでアダルト・チルドレン研究の第一人者であり、『アダルト・チルドレンと家族-心のなかの子どもを癒す』の著者で精神科医の斎藤 学 先生が運営されているIFF・CAIP相談室にて研鑽を積んで来ました。 IFF・CAIP相談室では、様々なアダルト・チルドレンの皆様とお会いしました。そして、彼ら彼女らが生きづらさの問題を抱えながらも肯定的に生きてゆく素晴らしい姿に励まされてきました。
幼少期に養育者から受けた虐待やネグレクトなどによって生きづらさの問題を抱え、まるで戦場のような家庭環境を生き残ってきた皆さんは、サバイバー(生存者)と呼ばれます。家庭環境が子どもの命を脅かす環境と化すためです。そのようなサバイバーの方々が回復してゆく姿には、どんなにひどい環境でも人は生きる力と肯定感を持つことができると確信してきました。そのためにはトラウマ治療が心理カウンセリングには絶対に欠かせないという信念は未だに揺るぎません。
幼少期のトラウマの問題(アダルト・チルドレン)の影響から解放されますと、その方らしい唯一無二の人生を歩まれ自由になって羽ばたかれます。
その「本来の姿」は非常に美しいものがあります。
1・ヒーロー(英雄)
家族の内で高く評価されている子。家族が更なる活躍を期待し、それに過剰に応え続けようと頑張るっている子。家族内でヒーローの存在がいる事で、冷めた両親の関係が一時的に良くなったりする為、ヒーローは常に頑張り続けてしまう。家族の目を意識しながらヒーロー(英雄)を演じ続ける事で、本来あるご自分の大切な感覚を見失ってしまう場合もあります。
ご来室される方々は優秀な方々が多く、その能力の高さをご自分のために活かせない問題を抱えておられる方もいらっしゃいます。
2・スケープゴート(生贄)
家族の関心を引くために問題行動を起こす子。家の負の部分を背負い込まされてしまう。このスケープゴートの立場の子が問題を起こし、周りの家族メンバーが「この子さえいなければいいのに」と幻想を抱く事で、家族の崩壊を防ぐ役割を担っています。問題を抱え非行に走ったり、家族の中での問題児的存在の子がこのタイプで、実は家族の崩壊を防ぐ役割を担わされている。
3・ロスト・ワン(いない子)
家族の中で目立たず静かにふるまい、普段はほとんど忘れられている存在。家族問題から距離を取って、心を守るための行動である。家族内では問題にあふれいている中、このロスト・ワンの子は家族とは離れた距離感で存在している。
例えば家族で兄弟が問題を抱え、その対処の為に両親が必死に問題解決に取り組んでいるさなか、ロスト・ワンの子は一人静かに淡々と家族と距離を取りながら生活している。一見すると問題がない様にも見えるが、両親から関心を向けられないという情緒的ネグレクトの問題を抱えている場合も見られます。
4・マスコット、クラン(道化師)
道化師のような行動で家族間の緊張を和ませる存在。家族の目を問題からそらす役割を果たす。このマスコットがいる事で、家族問題を抱えた家庭内の緊張感は和らいでいく。
5・イネイブラー(支え手)
家族の他のメンバーに奉仕することで、自分の問題と向き合うことを避ける。家族の中で親のような役割をすることもある。第一子がこうした役目になることが多い。夫婦間葛藤がある場合に「母親の支え手」として存在し、母子カプセル状態が生み出されることがある。それによる子供側の様々な問題(摂食障害、その他)が発生する場合があります。
医師の竹村 道夫 氏はアダルトチルドレンに特徴的な徴候として以下を挙げています。
以下のような生きづらさや問題を抱えておられませんか?
◻︎ 自分の判断に自信がもてない。
◻︎ 常に他人の賛同と称賛を必要とする。
◻︎ 自分は他人と違っていると思い込みやすい。
◻︎ 傷つきやすく、ひきこもりがち。
◻︎ 孤独感。自己疎外感。
◻︎ 感情の波が激しい。
◻︎ 物事を最後までやり遂げることが困難。
◻︎ 習慣的に嘘をついてしまう。
◻︎ 罪悪感を持ちやすく、自罰的、自虐的。
◻︎ 過剰に自責的な一方で無責任。
◻︎ 自己感情の認識、表現、統制が下手。
◻︎ 自分にはどうにもできないことに過剰反応する。
◻︎ 世話やきに熱中しやすい。
◻︎ 必要以上に自己犠牲的。
◻︎ 物事にのめり込みやすく、方向転換が困難。衝動的、行動的。
◻︎ 他人に依存的。または逆にきわめて支配的。
◻︎ リラックスして楽しむことができない。
アダルトチルドレンからの回復は月並みですが、他者に振り回されず、「生き方が自由になる」ことだと実感致します。快不快の感覚を取り戻し、安全な人間関係の構築し、ご自分を大切に思う気持ちを育てる等、多くの人がこの感覚をもっているのに、アダルトチルドレンはこれを持つことの葛藤を知ってます。「生き方が自由になる」ことが自分には相応しくないと無意識の中で思っては葛藤しています。
けれども、自分が主人公の人生を生きることが、自分に嘘のない、無理のない生き方を与えてくれます。
”私が主人公”の人生を生きられるように、きっとなります。
以下にいくつかのポイントをまとめてみました。
1・自己評価を高く
幼少期のトラウマを抱え、その影響受けて来たアダルトチルドレンの方々は、ご自分を大事にする事が難しい傾向があります。その為「自己評価」は低くなってしまう場合があります。本来は優秀な能力をお持ちでいらっしゃる方も、必要以上に自己卑下されたりします。
カウンセリングでは回を重ねるごとに、本来のお持ちでいらっしゃる「力」を再認識されていきます。「自分はダメだ」と信じ切ってしまっている部分は、幼少期からの長期的な虐待や言葉による暴力等によって、傷つけられた事に由来するという事が浮き彫りになってきます。
自己評価の低さは、様々な場面で活躍を奪い、自分にわるい勘違いをさせるでしょう。治療によって自己の感覚がトラウマから解放されますと、等身大の”私”への自己評価を持つ事ができ、強欲だとか身の程知らずだとかと鬼の形相で怒鳴っている、あなたの心の中の他者の声が消え、必ず「自信」が生まれます。
そして「私は よい!」と無意識が身体で言う筈です。
2・ご自分に適切な人間関係を構築できること
過去のトラウマの問題を抱えていますと、人間関係の中で過去のトラウマを気づかずに再演しています。これが原因で自分を傷つける人間関係から離れられない、共依存関係から抜けられない場合もあります。
カウンセリングでは「人間関係の悪循環がどのトラウマに影響を受けているか?」について、初回面接で丁寧にお話を伺いさせて頂きます。その上で苦しい人間関係の悪循環の要因となっているトラウマについて、FAP療法を用いご提案させて頂きます。
FAP療法を用いトラウマ治療を進めさせて頂きますと、比較的短期間に、不快感も少なくトラウマの問題から解放されます。過去のトラウマの問題が解消されるにつれ、楽な人間関係を選びとっていける感覚が生まれます。そしてご自分を傷つけるトラウマの再演のような人間関係を回避できるようになります。
3・ご自分の人生に生きがいを感じられる
トラウマを抱えておられるアダルトチルドレンの方々は、トラウマによって自分の感覚を感じられない事があります。それは幼少期の家庭内の虐待が続く中、ご自分の感覚を麻痺させる事で生き延びてこられたことが原因です。ご自身の快不快の羅針盤を失ったまま生きると、他者と自分の境界が失われ、トラブルばかりに巻き込まれます。そして「自分のために生きる」ということがピンと来なくなってしまいます。
「ご自分が何を求めて、どうしたら楽になるか?」ということが感じられないと、刹那的になり依存症に発展するケースは非常に多いです。
ご自分の感覚が分からないと、他人に判断をまかせ、人の顔色を伺い、神経を研ぎ澄ましてイライラしなければならないでしょう。
幼少期のトラウマによる感覚麻痺から解放されますと私が求めているものを大切に生きられるようになります。そのために人生はなければなりません。それに待ったをかける人が周りにたくさんいたら、さっさと逃げてしまいましょう。逃げようとしたら、罪悪感を覚えて苦しかった時は、当室での治療をお待ちしております。
「”私”が楽しい人生」を”私”が主人公で生きられるようになられます。
アダルトチルドレンについてご説明致しました。
当相談室はアダルトチルドレンの問題を専門としております。多くのアダルトチルドレンの問題を抱えた方々が、心の問題から解放されて自由に活躍されています。
●カウンセリングをご希望の方は、こちらをご確認下さいませ。
●カウンセリングの具体的内容について(はじめての方へ)を掲載致しました。
ご興味のある方はご参照下さいませ。
【執筆者情報】
大塚 静子
資格
所属学会
経歴
研究実績
研究実績はこちらをご参照下さい
著書
『甦る魂』はこちらをご参照下さい