当相談室では、専門家の方々を対象としたスーパービジョンや教育セラピーをご提供致しております。セラピストはクライアントを映し出す”鏡”として表現されることがあります。
「クライアントは今どの様な状況であるか?」、「その方の本質はどんなものであるか?」など、セラピストが相手の本質を映し出す”鏡”であるからこそ、ケースは「本来の姿」に戻り自由になっていかれるのです。
いかにセラピスト自身が、ケースを映し出す”鏡”としていられるか。それにはセラピスト側の自己研鑽が大切な要素であると実感致します。
セラピストとしてケースの前に立っている時、そこには色々な要素が絡み合った中でのケースとの掛け合いが繰り広げられるように思います。
セラピストも人間ですので時に感情的な揺れを経験したり、また自分自身が抱えている問題が触発されてしまう場合もあるかもしれません。
そんな時、スーパーバイザーという存在によって、セラピストとしてのご自分を客観的に見つめながら、ケースに向き合っていく事が出来るように思えます。そして少しずつセラピストとして「力」をつけて成長していけるのです。
つまりケースに向き合っていくという事は、セラピスト自身が自分に向き合い、ご自分の様々な要素を「認めていく事」が必要に思われます。セラピスト自身がご自分を「認めていく事」によって、クライアントの「本来の姿」を映し出す”鏡”として機能していくのです。
セラピストが内省していく事で、ケースの本来の姿を映し出せる”鏡”として存在できるようになるのです。ジャッジされず、そのままの姿をフィードバックされたケースは、自分自身を「認め」、様々な囚われから解放され自由になって行くのです。
このようにクライアントの自由を念頭においたカウンセリングを考える時、実は「セラピスト自身がどのようであるか?」という要素は大切な要因であるのです。
実はカウンセリングを通し、ケースもセラピストも一緒に成長していく存在のように実感致します。そんな自己研鑽がセラピストとしての成長として不可欠であると感じます。
またケースが「今、どのような状況であるか?」、「これからの展開としてどう行った事が考えられるか?」、「主訴はどういった背景から派生しているか?」について、第三者の目を交えながらケースに向き合って行く事で、セラピストの抱える不安感や万能感の問題から解放されて行くように思われます。
私の師匠である大嶋先生は「セラピストは万能感を持ちやすい」と常々仰っておられます。セラピストが「万能感」を持ってしまう事で、ケースに対し独善的になったり、面接経過での大切なヒントや兆候を見過ごしてしまう問題が発生してしまいます。
一人の人間としてケースに向き合う時、セラピストとしてのツールは非常に大切な要素となっていきます。そんな時、あらかじめスーパーバイズや教育セラピーを受けていく事で、セラピストとしてのご自分を成長させながら「力」をつけて行く事が出来るのです。
セラピストとしてご自分を見つめ成長して行きたい方、ご興味のある方はご連絡下さいませ。
●スーパーバイザー
大塚 静子
【プロフィール】
資格
所属学会
経歴
研究実績
研究実績はこちらをご参照下さい
●お申し込み方法
ご予約サイト(スーパービジョン)からお申し込み頂けます。「連絡項目」にスカイプ、対面のご希望をご記載願います。
後程、メールにてこちらから詳細についてご連絡をさせて頂きます。
●ご料金:7,700円(税込)50分
心理カウンセラーになったばかりの方は、自身のやり方に迷ったり、自信を持てなかったりすることもあるでしょう。カウンセリングについて知識を身につけたいのであれば、本などから学ぶことができますが、カウンセラーに求められるのは知識だけではありません。
悩みの原因や向き合い方、現在の状況、考え方など人それぞれ異なるため、ケースバイケースで対応する必要があり、本などから得た知識だけでは実践力に欠けてしまいます。
つまり、知識と経験をバランスよく身につけることが大事なのですが、もちろん最初から経験が得られるはずはありませんよね。そこで先輩などから指導を受けることができれば、自身の中の迷いを軽減させることにつながり、心も軽くなるのではないでしょうか。人の悩みや問題に向き合うためには、まず自身の心の問題を解決させる必要があるということです。
スーパービジョンとは、心理カウンセラーが先輩カウンセラーなどから助言や指導を受けること。指導を行う心理カウンセラーを「スーパーバイザー」、指導を受ける心理カウンセラーを「スーパーバイジー」といい、カウンセリングに似ていますが、その違いは、双方が上下関係にあるというところにあります。なお、動詞である「スーパーバイズ」という言葉を用いることもあります。
スーパービジョンは、スーパーバイザーとスーパーバイジーが1:1の場合も、あるいは1:複数人のグループで行われる場合もあり、いずれの場合も、スーパーバイジーはスーパーバイザーに自身の担当したケースを報告し、面接過程についての意見を求めることで、現状の課題や今後のカウンセリングのあり方について学ぶことが可能です。カウンセラーがこの先、よりよいカウンセリングをクライアントに提供するために自己分析を重ねる、大事な研修期間と捉えてよいでしょう。
「期間」といいましたが、特にいつまでに終了するといった決まりは存在せず、スーパーバイジーとスーパーバイザーが互いに納得した時点で終了することになります。なおこのとき、どちらも守秘義務を負うため、スーパービジョンにおいてケースの話をすることについて、クライアントに許可等を取る必要はありません。
スーパービジョンは、スーパーバイジーが担当したカウンセリングの記録をもとに対話をすることで次回に活かすという進め方もあれば、同じケースについて何度も話し合い、そのプロセスを追っていくという場合もあり、また、スーパーバイジーがなにか判断に迷った際などにそのケースの相談をするということもあります。進め方はスーパービジョンを始める際に双方が納得できるように話し合って決めるようにしましょう。
また、スーパービジョンの中で話し合うケースについては、ただクライアントとの言語的な対話を記録したものだけではなく、スーパーバイジーがそれについて感じたことなども一緒に伝えた方が、より深層部分にまで理解を到達させることができます。
あるいは、スーパーバイザーによっては、記録したものは持ってこないように指示する場合もあるかもしれません。あえて記憶に残っていることだけを頼りに対話することで、表面的な部分だけでなく本質を掴むことができる場合もあるからです。
なお、スーパービジョンはカウンセラーとしての経験がまだ浅い人だけでなく、多くの経験を積んだあとも適宜行って問題はないです。というよりもむしろ、そうする必要があると考えた方がいいかもしれません。
冒頭でも触れましたが、カウンセラーであっても迷うことや判断に自信が持てないことはあります。それは、カウンセラーである前に一人の人間だからです。特にまだカウンセリング経験の浅いころは、緊張したり不安を覚えたりすることもあるでしょう。そういったときに安心させてくれるのがスーパーバイザーという存在です。
スーパーバイザーとスーパーバイジーはスーパービジョンを通して師弟のような関係を築くことで、指導内容の理解度を高めていきます。スーパーバイジーがカウンセリングのさなかには気づけなかった点をスーパーバイザーが発見し、そして本人が気づくよう促すことができるということもあるでしょう。
理解力や洞察力が身につけば、今まで見えなかった物事にも自分から自然と気づくことができるようになり、今後のカウンセリングにも役立つということはおおいにあると思います。
注意しておきたいのは、たとえば同じ職場内の上司部下という関係でスーパービジョンを行う場合、スーパーバイジーは自身の評価を良くしようと、自身が行ったカウンセリングについて虚偽の内容を伝えてしまうことがあるかもしれないということ。それは意識的かもしれませんし、無意識的かもしれません。
つい自身を良く見せようと、良かった点を誇張したり、あるいは反省点を省いたりすることは、だれしも多少なりとも身に覚えのあることではないでしょうか。しかし、それではスーパービジョンの効果は半減し、得られるものも得られなくなるということも考えられます。あくまでもスーパービジョンでは事実を素直に話すこと、それが大事です。
ただし、素直に自身をさらけ出すことで、パラレルプロセスを引き起こす可能性も考えられます。パラレルプロセスは、スーパービジョンととても密接した要素なので、次の項で説明します。
パラレルプロセスとは、カウンセリングを行う両者の関係とスーパービジョンを行う両者の関係が、同じ、あるいは似たように発展していくこと。「パラレルワールド」という言葉は広く知れ渡っているかと思いますが、「パラレル(parallel)」という言葉は「平行」という意味を持ちます。
具体的な例を挙げると、スーパービジョンを行うなかでスーパーバイザーが、都度スーパーバイジーの理解の度合を配慮しながらゆっくり進行したとして、スーパーバイジーは今度自身がカウンセリングを行う際に、クライアントに対して同じように適宜細やかに理解しているかどうかを確認しながら進めるようになる、など。
こちらは比較的よい例だと思いますが、パラレルプロセスはよいものだけでなく、弊害を生むこともありえます。簡単にいってしまえば「自分がされたことを、そのした相手と同じ立場になったときに自分も行う」というのがパラレルプロセスだといえるので、恋愛に関する葛藤をテーマにカウンセリングを進めていた場合、そのカウンセラーがスーパーバイジーという立場になったときに、スーパーバイザーに対して同様の恋愛に関する葛藤を抱え込んでしまうということも考えられます。
カウンセラーとクライアントの関係がスーパーバイザーとスーパーバイジーの関係に発展することも、スーパーバイザーとスーパーバイジーの関係がカウンセラーとクライアントの関係に発展することもありえます。どちらが先でどちらが後ということではなく、これらは常に連動していると考えるのが適切でしょう。
スーパービジョンには先ほども触れたように、カウンセラー(スーパーバイジー)の成長につながるという大きな意義が存在します。ただ、その前に、カウンセラーの不安を取り除くことができるというのも大きなメリットです。
クライアントを守るのはカウンセラーの役目ですが、カウンセラーも同様にスーパーバイザーに守られていると安心できることで、健全な状態でカウンセリングを行えるのです。もちろんスーパーバイザーもまた先輩や同僚の心理士と支え合って仕事をしています。
悩みやトラブル、課題、問題などを受け止めるばかりでは、どんなにベテランのカウンセラーでも心に疲労が溜まってしまうでしょう。カウンセラーはクライアントと向き合うことに責任を持たなくてはいけませんが、同時に自身にも責任をもって向き合ってくれるスーパーバイザーがいると自覚することで、目の前にいるクライアントの気持ちにより一層寄り添うことができるのではないでしょうか。そして、そこで初めてカウンセラーとしての成長に結びつくと考えられます。
スーパービジョンは永遠に続くものではありません。いずれは終了して自立する、あるいは別の視点のスーパーバイザーと出会い、改めてスーパービジョンを始めるということもあるでしょう。
ただし、スーパービジョンが終了したからといってスーパーバイザーとの関係性が完全に切れるということではありません。スーパーバイジーはスーパーバイザーとの対話を通して、クライアントへの理解を深めたり、新たなカウンセリングテクニックを身につけたりすることで成長します。これはつまり、子どもが親や教師に教わったことを自然に取り入れて生活を重ねていくのと同じように、スーパーバイザーを自身の中に内在化させ、自身と一体化させているともいえるのです。