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共依存

共依存とは

 

共依存は「人間関係の依存症」とも呼ばれ,トラブルばかりの人間関係に嗜癖する依存症です。 

 

それは他者の問題に介入したり、過剰に相手の世話を焼いたりする問題行動として現れます。

 

世話をされる方は自立度が下がり働かない、引きこもる、あるいは何らかの依存症を抱えた状態になります。世話焼きの方は「わたしがいなかったらあの人はダメになる」という役割を喜びに感じ、活発に相手の世話を焼いて活き活きとしているかもしれません。 

 

こうした関係は底をつかないと自分の問題が見えていないことが多く、飲酒によるトラブルや薬物、ギャンブル、ショッピングなどの依存で警察沙汰や大病、大怪我などをきっかけに、ようやく自分の問題行動を改めようとします。しかし、そうなる前にお互いの関係を見つめ直し、実像を理解することが関係を安定させる筈ですが、その安定した人生を選ばないのが共依存です。 

 

家族関係や社会生活が荒んでいる時に「わかっている、けれどもやめられない」という声が、常に心の隅っこで聞こえていたら、依存症を疑うべきです。しかし、「わかっている」イコール「大丈夫だ」という根拠のない認知が依存症によるトラブルを長期化させていることに気がつきましょう 

共依存はアルコール依存症の夫と妻からうまれた言葉

 

共依存という言葉は、1970年代にアルコール依存症の患者とその家族(妻)を観察する看護現場から生まれた言葉です。 

夫がアルコール依存症になり、会社に行けないなど社会生活や家庭で問題を起こします。

妻は飲酒を制止し、夫をケアします。けれども、妻が夫の身の回りをケアすればするほど、夫は飲酒を繰り返し断酒が出来ないという問題行動が見つかります。 

 

妻が夫の自立を支援、援助すればするほど夫の飲酒はやめられず、家庭環境を改善するはずが飲酒環境を益々よくしてしまうことで夫は出勤できなるという両者の関係分析によって共依存という言葉が生まれます。アルコール問題に限らず、共依存は人間関係のあるところであれば、何処にでも見つかります.

共依存の事例 かわいそうな人への感度が高い女性(30代)

 

その女性は父に私は似ていて、父のよかった部分を私がすると裏目に出てばかりいるという自己分析をされていた。 

 

交際3年目になる彼氏が職に就かず、女性は銀行員。アート系の大学出の彼氏は画家志望で自分も絵が好きでなところから交際に発展するも、彼氏には収入が全くない。昨年、女性から画材代と称してここ1年、ギャンブルをしていたことが発覚。彼氏は消費者金融から300万円程隠れて借金までしていた。最近は絵も描かず、家でぐったりしている。女性から衣食住と遊び代をもらっている。 

 

「申し訳なさそうに彼から頼まれると、よくないとはわかっているんですが、かわいそうに思えて、早く元気になってもう一度絵を描いてほしいんですが、、、、」と女性は話す。 

 

女性の父は官僚で非常に優秀で出世が早かった。面倒見がよく、家族よりも地域の人や知人、友人にばかり世話を焼く人だった。そんな家庭では来賓が多く、母と私はお客さんが来るたびにお茶やお茶菓子を用意していた。お客さんへのあいさつや所作がうまくできないと「この子は賢くないんですよ、ほら!しっかりしなさい!」とお客さんの前ではよく父からの様々な罵倒や小言で萎縮していた。 

 

こうした父の世話焼きの特訓のせいで、他人を、それも困っている人、かわいそうな人、元気のない人を見るとたまらなくなり、自分のことのように、何かしてあげたいという感情が襲ってくるという。 

 

「人に世話を焼いている時、自分に自信が持てるんです。でも、相手はきっと元気を失ってしまう、とはわかっているんですけど、、、、」 

 

典型的な共依存の問題を抱えているため、相手を思いやる時のように自分を思いやり、共感することができるかを伺うとやはり感覚がないため、父親との関係で受けたトラウマをFAP療法で治療する。 

父の「しっかりしなさい!」という言葉に何を感じるかを女性に尋ねる。 

 

女性はそれを「片方しかない靴下、丸まった、、、」と表現される。 

 

「うちに来ていたお客さんに見せる父の笑顔がとてもステキで、私にもあんな笑顔で接してほしかった」という感情の伴った願望が3回目のセッションで蘇ると、これをきっかけに私自身を感じる感覚の芽が出はじめる 

 

現在、「私は私、あなたはあなた」という境界線を意識している。画家の彼氏には少しずつ彼の問題は私の問題ではないということを伝えて様子を見てゆきたいとのこと。近々、カップル面接を受ける予定。 

共依存の特徴

 

見捨てられたくない 

 

私がいないとこの人はダメになるを求める 

 

相手の不機嫌が怖い、相手の言動に左右される 

 

特別な対応で相手に自分をアピール(尻ぬぐいや弁護) 

 

自分の好き嫌いを感じられない感覚麻痺 

 

自分も他人も信頼することを知らない 

 

相手も自分も問題を抱え続ける判断を手放せない 

 

共依存者の特徴は、自分が我慢し痛みに耐えれば私はいつか評価されるという自己中心的な幻想を持っています。この幻想を愛と思って行動しています。 

 

愛の幻想によって、もう一方のパートナーは何らかの依存症に溺れたり、虐待や暴力、DV,モラハラで警察沙汰になるまでその関係を続けたり、子どもや夫に過保護や過干渉を良かれと思って何十年もやめません。 

 

共依存者は、パートナーの心の健康を害する行為を継続させています。当人にはその自覚が薄く、まさか自分を評価してほしいためにパートナーと自分、あるいは家族を破壊しているとは考えも及びません。 

共依存と家族問題

 

共依存者は、自分が評価され活き活きと活動できる問題を無意識に求めて行動します。 

 

夫のアルコールの依存、子どもの引きこもり、娘の摂食障害などの問題行動を数年にわたって支える人をイネイブラー(enabler)と呼びます。イネイブラーは善意や責任感、相手を心配する行為を示せば人は認めてくれるという認知の歪みがあります。 

 

共依存では、夫の断酒が続き元気になり、ようやく夫が社会復帰してくれて、よかったよかったとはなりません。 

 

夫が飲酒を断って落ち着いた頃、今度はその家庭の娘さんが摂食障害を発症したり、息子さんが引きこもりや非行に走ったりします。 

 

あるいは、夫が安定しはじめると、妻のケアという役割が消滅します。 

 

自由に健康に社会生活を送る夫に憎しみや怒りや裏切ったという感情が表出します。その感情を抑圧しようとすると、妻は抑うつ傾向で元気を失います。夫は元気のない妻に対する罪悪感を無意識に感じて再び飲酒を再開することもあります。 

 

このように、家族の誰かが問題行動を持っていないと家族は成立しないという家族機能不全のシステムを手放せません。 

 

そして、このシステムは問題行動の人を支えたり、助けたりする正しさの陰で、問題行動の人の自立や回復を遅らせている問題には中々気がつけません。日常に感じていない自分の中の無意識の領域が問題となっているためにこのような特徴が家族問題には見受けられます。

共依存の原因と5つの核症状

 

共依存治療施設メドウズを設立した米国の心理療法家ピア・メロディは、幼少期の虐待や不適切な養育環境のトラウマが共依存の原因になると主張しています。 

 

そして、共依存の特徴的な症状を5つ挙げています。 

 

①他人の意見や感情に合わせること(人柄:協調性 問題:中庸) 

 

②自分を犠牲にすること(人柄:自己犠牲 問題:依存) 

 

③相手の問題を自分の問題として扱う(人柄:共感性 問題:境界線) 

 

④自分自身の問題を放置すること(人柄:利他性 問題:現実性) 

 

⑤自己否定的な感情や思考(人柄:謙虚性 問題:自尊心) 

 

①から⑤を人柄として見た場合 

 

協調性、自己犠牲、共感性、利他性、謙虚性を兼ね備えた人は好感度が高いでしょうし、きっと雰囲気もよいでしょう。とてもいい人、私を元気にしてくれそうな人、頼りになる人、けれども常に笑顔で接している人に、多くの人は、この人怒ったらどうなるのだろうという不自然さと怖さ、不安を感じますから、健康な判断力があればあまり近寄りません。 

 

共依存本来の問題点として①から⑤を見た場合 

 

相手との対立や揉め事を恐れて自分の意見を言わない中庸 

 

自分はどうでもいいという自己否定感由来の自尊心や自己評価の低さの問題 

 

過干渉や過保護にみられる他者との境界線がない問題 

 

自分と相手の実像が見えず幸せにならない判断をする現実の問題 

 

愛情や承認欲求を失うことへの不安から相手に依存する問題 

共依存から抜け出すために

 

共依存傾向の人は、親の虐待やネグレクトが日常化した家庭環境、いわゆる機能不全家族で育っていることが多く、養育者との不安定な愛着を形成しています。

 

いい人を演じ続けてしまう機能不全家族で育ったアダルトチルドレンの多くは共依存傾向があり、その対人関係は養育環境で形成されたトラウマによって不安や脅えが強いため、本来の自分に遠慮して自己の欲求を表現することが困難です。そのエネルギーを他者から自分のために消費できるようになるためには、トラウマ治療は絶対不可欠でしょう。 

 

また、ここで非常に大切なことが、ご自分の過去を振り返り、自分を客観的に認識できるかという能力です。家庭内で幼少期より慢性化したトラウマは、この客観的な能力、いわゆる自己を内省する力にダメージを与えています。そのため、自分を不幸にしてしまう判断を言われるがままに選んでしまう傾向(自分を表表現しない中庸の問題)があります。トラウマで歪められた判断や認知の修正を最優先に治療を進め、自分の現実を感じ取れることが治療を最短にしてくれます。

 

他人優先で問題行動に振り回され、思いどおりにならない私に気づいた時、それはトラウマからの解放の入り口です。

 

共依存には、かけがえのない自分を感じる訓練が何よりの薬となります。そして、愛のかたちをした二人でひとつという生きづらさばかりの価値観から、新しい自分が成長し、自分の意見や意志を持って自立の素晴らしさを感じられる価値観へのシフトチェンジを目標にご来室ください。 

共依存カウンセリングの申し込み

当相談室では共依存についてのカウンセリングをご提案致しております。大切なご家族やパートナー及び自分を改めて観察しながら、楽に生きていくためのサポートさせて頂きます。

 

ご希望の方はお気軽にご連絡を頂ければと存じます。

 

●カウンセリングをご希望の方は、こちらをご確認下さいませ。

 

●カウンセリングの具体的内容について(はじめての方へ)を掲載致しました。

ご興味のある方はご参照下さいませ。

 

【執筆者情報】

 大塚  静子

 

資格

  • 臨床心理士(NO:18162)
  • FAP療法上級資格取得

 

所属学会

  • 日本臨床心理学会
  • 日本ブリーフサイコセラピー学会
  • 国際トラウマティックストレス学会
     (International Society for Traumatic Stress Studies)

 

経歴

  • 2005年 アライアント国際大学/カリフォルニア臨床心理大学院 臨床心理学
    修士課程卒業
  • 2005年7月 アルコール依存症専門病院、周愛利田クリニックにて依存症治療に携わる。
  • 2009年7月 アダルト・チルドレン研究の第一人者の斎藤 学先生運営のIFF・CIAP相談室勤務。家族臨床、トラウマ治療について研鑽を積む。
  • 2014年7月 横浜にてカウンセリングルーム・グロース設立。
  • 2015年4月 浦和大学 総合福祉学部 非常勤講師 「心理療法」,「精神保健学」担当

 

研究実績

研究実績はこちらをご参照下さい

 

著書 

『甦る魂』はこちらをご参照下さい

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