FAP療法(Free from Anxiety Program:不安からの解除プログラム)は、2001年に大嶋信頼氏によって治療が体系化された心理療法です。PTSDの諸症状の改善や恐怖症の克服、パニック障害や強迫性障害、依存症的欲求等の幅広い問題に対して劇的な治療効果をしめします。
<特徴>
●短期間でのトラウマ治療が可能
●トラウマ治療に特有の苦痛が無い
●「共感」にもとづいた心理療法
通常トラウマ治療は、過去の体験を言語化して行く作業を行なっていき、トラウマによるショックで解離(感覚が麻痺)した感情を取り戻す作業を行っていきます。面接場面では、セラピストはクライアントの体験を自分が同じ様な経験をした様に頭の中でイメージし傾聴していく事で、クライアントの氷ついてしまったトラウマ記憶と感情が統合され、心の傷が癒されていくという事が起こります。セラピストが「共感」という作業を行っていく事で、治療が進んで行きます。
しかしこの場合、難点があり「回復までにかなり時間がかかってしまう」という点があげられます。いらしていただくクライアントさんは、早く楽に自由に人生を送りたいと思っておられると思います。そのようなニーズを満たして行く為に、FAP療法を用いトラウマ治療を行っていく事で、スピ-ディにトラウマから解放され自由に人生を歩んでいけるように回復して行きます。
トラウマ治療の難点としてもう一つ挙げられるのが、トラウマ体験を言語化していく中で、トラウマ体験と同等の苦痛を再体験していくという点があります。その影響でクライアントの日常生活の適応が下がってしまう可能性が考えられます。せっかくこれまでやってきた状況をトラウマ治療していく事で、更に適応を下げてしまう事は、治療を継続して行く上では問題点でもあります。
FAP療法ではこのような苦痛や日常の適応が下がってしまう事無く、過去の氷ついてしまったトラウマの感情と記憶を統合して行く事ができます。そしてトラウマ体験は記憶から排除される傾向があります。その場合記憶が無いトラウマをどうやって治療するの?という疑問もでてきますが、FAP療法では過去の記憶からぬけてしまったトラウマ、氷山に例えれば海の下に沈んでしまって見えていないトラウマも治療していく事ができます。
過去の記憶がおぼろげで思いだせない、だけど現在の対人関係でどうも苦しい状況にあると言う方もFAP療法を用いる事で心の傷から解放されていく事がこれで可能になります。
カウンセリングの基本は「共感」と言えるでしょう。面接場面ではクライアントの外傷体験にセラピストが共感して行く事で、外傷体験の記憶と感情が統合され、クライアントはその外傷体験に執着する事が無くなってきます。クライアントの苦しみの波に対し、治療者が外傷体験をイメージしクライアントと同じ波を作っていく事により、クライアントの苦しみの波が打ち消されていくのです。
FAP療法による治療のメカニズムもこれと同じ事が言えます。セラピストはクライアントから受け取った苦しみの波に対し、セラピストが同じ苦しみの波のキーワードを返していく事により、クライアントの苦しみの波が打ち消されていくのです。苦しみの感情が打ち消されていくと、クライアントは本来感じていた感情(本音)を感じられる様になっていくのです。
※㈱インサイト・カウンセリング発行 FAP療法セミナーテキストより引用