FAP療法, アダルトチルドレン, トラウマ治療, 横浜 2021/08/30 (月) 2:12 PM
日々、幼少期における愛着の問題を抱えているクライアントの方々とお会いしています。愛着の問題から派生する対人関係の問題、感情のコントロールや自尊心の問題(自信のなさ)等の問題を抱えていらっしゃいます。
ご来室当初、それらの様々な問題に対し「ご自分の性格がいけない」とか、「努力が足りない」という風に、どこかごご自分を責めている場合があります。
トラウマ治療の権威でいらっしゃる、ベッセル・バンデア・コーク先生は発達的トラウマ(Developmental Trauma Disorder)というカテゴリーをご提唱しています。ベッセル・バンデア・コーク先生は、愛着の問題により大人になって生きていく上で様々な問題(下記 B~D)を抱えてしまうと仰っています。
A~Dのそれぞれのカテゴリーに分類されています。
Joseph Spinazzola(2021)は愛着関係の問題がB~Dの状態に強く影響すると報告しています。
つまり感情面の不調性、社会の中でご自分を守りながら行動していく事が難しく、人への不信感から安定した人間関係を構築していうことが難しいとされています。
この発達的トラウマのカテゴリーを確認していますと、いかに幼少期の安定した愛着関係が、その後の大人になってからの生きることに繋がっているのだなと実感します。
しかし日々、様々なクライアントさんの回復を拝見し実感するのは「人の可能性の凄さ」です。多くの方々が幼少期の家族の問題を抱え、そして親との愛着関係の問題を抱えていらっしゃる。
だけれども様々な問題を抱え、そこからの回復される姿は、非常に感動するものがあります。
人はどんな状況でいても、心の傷を癒し、そして自由に生きていく「力」が備わっているのだという事を実感するのです。
「本来の”私”」で自由に生きていかれる姿を拝見する時、トラウマを越えていく人の自由に生きる力を実感するのでした。
●発達的トラウマ(Developmental Trauma Disorder)
A:人生に同時に引き起こされる発達的トラウマの経験
1)トラウマティックな対人関係被害
2) 最初の世話をする人達との混乱した愛着関係
B:現在の状況における感情、もしくは身体感覚の不調性
1) 感情の不調性
2)身体感覚の不調性
3) 感情や身体感覚につながることが困難
4)言葉によって感情や身体感覚を落ち着かせることが困難
C: 現在の状況における注意、行動面での不調性
1) 脅威からの身を守る際の注意の偏り
2) 自分を守って行く事が困難
3)自分を落ち着かせることが困難
4) 自傷行為
5)目標設定し、そのために行動を維持したり、親密な関係を維持する事が困難
D:現在の状況における人間関係、自己観の不調性
1)自己嫌悪もしくは、ダメージを受け欠落した自己観
2)愛着の不安定さと混乱
3)裏切りをベースとした人間関係の信念
4)言葉と身体による攻撃的反応
5)心理的境界を維持する事の困難さ
6)人間関係の中で共感する事の困難さ
●参考文献
Joseph Spinazzola, Bessel van der Kolk, Julian D.Ford.(2021). Developmental Trauma Disorder : A legacy of Attachment Trauma in Victimized Children.Journal of Traumatic Stress, (0 ),1-10.
●カウンセリングをご希望の方は、こちらをご確認下さいませ。
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