Home > スタッフブログ新着一覧 > 本来の”私”の姿を守っていく

児童期性的虐待のトラウマと回復

本来の”私”の姿を守っていく

児童期性的虐待のトラウマと回復   2026/01/20 (火)  9:01 PM

近頃は暖かい冬だな〜て思っていましたが、やはり冬だ!って感じの寒さですね。

皆様どうぞご自愛下さいませ。

 

また児童期性的虐待の論文について読み進めました。Shannon Lynch (2024)の論文です。非常に児童期性的虐待の問題や後遺症について、端的に表している論文だと実感しながら読み進めました。

 

犯罪問題に巻き込まれてしまう女性は、背景として高い率で過去に対人関係における暴力、特に性的暴力を抱えると同時にメンタルヘルスの問題を抱えているとしている。

 

しかしながら、これまでの研究では複数のメンタルヘルスの問題と対人関係の暴力について関連づけている研究は殆どなく、子供時代における性的虐待、そして大人になってからの性暴力が心の問題との関連についての研究は殆どないとしている。

 

研究の目的は児童期性的虐待と大人になってからの性的暴力について調査していく事である。刑務所いる女性(146人)について、トラウマの経緯について回答する質問紙、そして彼らの抱えている精神状態について聴取した。そして児童期性的虐待、大人になってからの性的暴力との関連性について研究を行った。

 

全参加者の73%の人が児童期性的虐待を受けていた。また全体の半分の参加者がPTSDの症状を抱え、20%の参加者が解離性障害、そして70%の参加者が過去において物質依存の問題を抱えていたとしている

 

児童期性的虐待の問題は有意にPTSDの問題を予見し、大人になってからの性的暴力は物質依存と解離の症状を予見していた事が分かった。

 

この研究から性的暴力にさらされる事は、高い率で複雑なメンタルヘルスの問題を抱える原因となる事が分かった。今後トラウマの問題、苦しみに封じ込められてしまっている女性への包括的な介入が必要であると述べている。

 

この論文を読んだ時、児童期性的虐待を受ける事がどれだけ、その後の人生が破壊へと転じてしまうのかという事を感じました。

 

幼少期の児童期性的虐待のトラウマが、大人になってからの性的被害をトラウマの再演として引き起こされてしまう影響を感じました。そして同時にPTSDと解離性障害、物質依存の問題を抱えてしまう。

 

児童期の絶対的に力がない存在の子供が、性的虐待を受けてしまう事が大人になってどんな形で人生が「破壊」へと転じてしまうのかという、理不尽極まりない現実を論文を読み進めながら感じました。

 

Laina Villalta(2020)の論文でもありましたが、幼少期の児童期性的虐待のトラウマがその後の人生において、複雑性PTSDにおける感情の不安定さを抱えてしまう結果、更なるトラウマを経験してしまうというジレンマの内容がありましたが、その内容と連動すると感じました。

 

当事者の本来あるべき姿が守られる事。

それは非常に大切な事であると、論文を読み進めながら思いました。

 

 

【参考文献】

Shannon Lynch et all.(2024).Childhood and Adult Sexual Violence Exposures as Predictors of PTSD, Dissociation, and Substance Use in Women inJail. Journal of Child Sexual Abuse, Volume 33.4.

 

Laia Villalta et all.(2020).Complex post-traumatic stress symptoms in female adlescents: the role of emotion dysregulation in impairment and trauma exposure after an acute sexual assault. European Journal of Psychotraumatology,11-1.

 

●カウンセリングをご希望の方は、こちらからご予約頂けます。

 

●カウンセリングの具体的内容について(はじめての方へ)を掲載致しました。

ご興味のある方はご参照下さいませ。

 

 

【執筆者情報】

 大塚  静子

 

資格

  • 臨床心理士(NO:18162)
  • FAP療法上級資格取得

 

所属学会

  • 日本臨床心理学会
  • 日本ブリーフサイコセラピー学会
  • 国際トラウマティックストレス学会
     (International Society for Traumatic Stress Studies)

 

経歴

  • 2005年 アライアント国際大学/カリフォルニア臨床心理大学院 臨床心理学
    修士課程卒業
  • 2005年7月 アルコール依存症専門病院、周愛利田クリニックにて依存症治療に携わる。
  • 2009年7月 アダルト・チルドレン第一人者の斎藤 学先生がやっておられるIFF・CIAP相談室勤務。家族臨床、トラウマ治療について研鑽を積む。
  • 2014年7月 横浜にてカウンセリングルーム・グロース設立。
  • 2015年4月 浦和大学 総合福祉学部 非常勤講師 「心理療法」,「精神保健学」担当

 

研究実績

研究実績はこちらをご参照下さい。

 

著書 

『甦る魂』はこちらをご参照下さい。

 

コメントは受け付けていません。

トラックバックURL

https://shizuko-o.com/kanri/wp-trackback.php?p=9001

menu
menu

ページトップへ戻る