複雑性PTSD 2025/07/30 (水) 2:55 PM
庭の方ではまだまだきゅうりの収穫が続きます。「おっ!」って感じであります。中玉トマトも今年は豊作です。
日々、さまざまな方々の回復される姿を拝見しています。少しずつ少しずつ奪われた力を取り戻し、ご自分の人生を歩んでいらっしゃると感じます。
時々、私は世界の児童期性的虐待関連の複雑性PTSDの研究資料を読み進めています。「世界ではどんな風にこの問題を捉えているのか?」に非常に興味があります。
Laia Villaltaら(2020)の研究は性的虐待のトラウマから派生する複雑性PTSDの問題を抱えた思春期女性を対象とした研究を行っています。複雑性PTSDの診断基準の中で「感情の不安定さ」が、どうトラウマ後の心の傷やその後の更なるトラウマ問題に発展してしまうかについて研究したものです。
その性被害の治療施設を訪れた99人の思春期の女性を対象としたものでした。被害を受けた4ヶ月~5ヶ月後の状況について調査した研究です。
研究参加者全体の59%がPTSDの問題を抱え、40%が複雑性PTSDの問題を抱えていたとしています。複雑性PTSDはPTSDの3つの症状、3つの性格傾向を指しています。
3つの性格傾向はDisturbances in self-organization(DSO)と呼ばれ、自尊感情の低さ、対人関係の問題、感情の不安定さの状態をさします。性的虐待のケースでは、複雑性PTSDにおけるこれらのDSOの問題を抱えてしまう事が頻発していると研究で報告されています。
研究結果としてDSOの3つの指標の中で「感情の不安定」は、トラウマ後の日常生活の機能低下、そして更なるトラウマを経験してしまう可能性が高くなると研究で述べられていました。
よって性的虐待のトラウマ後における複雑性PTSDから派生する「感情の不安定さ」をどう防止していくか、またトラウマ治療戦略が重要であると述べています。
この論文を読んでいて、非常に納得をします。児童期性的虐待と複雑性PTSDの問題は、研究の内容でもあるように関連性があるという事でした。問題を「性的虐待トラウマ=感情の不安定さ(複雑性PTSDの症状)」として捉えていく事によって、当事者の問題に帰属するのではなく「性的トラウマから派生する当然の状況」と示していく中、本当の意味でリスペクトしながら、本質的なトラウマ治療が進められるという事を実感します。
性的虐待のトラウマによって複雑性PTSDの問題を発症してしまう傾向が高くなり、そして当事者の本来ある能力や生きる力を下げてしまう事、そしてその後の人生においてトラウマに晒される危険が高くなるという事、これらの問題をどう防ぎながら、トラウマの問題を越えていくかが非常に重要なキーポイントだと論文を読みながら実感しました。
こういった性的虐待の当事者に立った力強い論文を読み進めると、力をもらえ、そして「素晴らしいな~」って事を思うのでした。
<参考文献>
・Laia Villalta, Sophie Khadr, Kia-Chong Chua, Tami Kramer,Venetia Clarke, Russell M. Viner (2020), Complex post-traumatic stress symptoms in female adolescents:the role of emotion dysregulation in impairment and trauma exposure after an acute sexual assault,European Journal of Psychotramatology.
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【執筆者情報】
大塚 静子
資格
所属学会
経歴
研究実績
研究実績はこちらをご参照下さい
著書
『甦る魂』はこちらをご参照下さい
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