FAP療法, アダルトチルドレン, トラウマ治療, 横浜 2021/07/24 (土) 12:47 PM
先日『Treating Complex Traumatic Stress Disorders in Children and Adolescents (子供への複雑性PTSDの治療について)』を読破しました。
しばらく時間が掛かりましたが「終わった〜!」っていう感じでした。こちらの本には複雑性PTSDの様々な治療法、そして治療の枠組みやスタンスなどが網羅され非常に勉強になりました。
複雑性PTSDの問題は、幼少期の発達段階におけるトラウマを抱えてしまう事で認知面、行動、感情、対人関係、自己観などの多方面での影響を受けるとされています。まさに「生きる」に大きく影響を及ぼす問題と言えるでしょう。
そのため世界の様々なトラウマ治療の臨床家達は、様々な視点や領域から情熱と知力を駆使されて、この問題の治療に取り組んでいました。
私自身、日々様々な幼少期からのトラウマの問題を抱えたクライアントの方々とお会いし、その回復される姿を拝見しています。その回復される姿に「人の可能性は素晴らしい」と実感しております。
この著書を読み進めいている中で、世界のトラウマ治療の臨床家の方々の情熱に非常にリスペクトの気持ちが湧いて来ました。世界で多くの臨床家の方々がこの問題に情熱を傾けておられる。それを嬉しく思いました。
「今度はどんなトラウマの文献を読んでいこうかな?」って思った時、国際トラウマティックストレス学会のウェブサイト図書館で見つけた論文を読み進めようと思います。
Developmental Trauma Disorder : A legacy of Attachment Trauma in Victimized Children(発達的トラウマ障害 : 代々受け継がれるトラウマ被害を受けた子供達)』Joseph Spinazzola, Bessel van der Kolk, Julian D.Ford著
「Developmental Trauma Disorder(発達的トラウマ)」というのは、こちらの論文の共同研究者であるバン・デア・コーク先生がご提唱されているトラウマ理論であります。
幼少期の発達的段階におけるトラウマが、大人になってから様々な問題を引き起こすという事を留意し、バン・デア・コーク先生がご提唱された理論です。
まだ途中ですが、この論文ではバン・デア・コーク先生は幼少期のトラウマの問題について非常に重く受け止めている中、アメリカ心理学会(APA )が発行しているDSM-5(精神障害の診断・統計マニュアル第5版)の発行に際し、この発達的トラウマの診断名として掲示する様にご提案されたというのです。
しかしこの希望は受け入れてもらえなかった為、この論文の著者達は、再度その発達的トラウマの問題の心と身体の影響の重要性について、統計的研究を行ったという経緯があるようです。もう少し論文を読み進めながら、勉強して行きたいと思います。
しかしベッセル・バン・デア・コーク先生らの、トラウマ治療に対する情熱と戦いの精神に「あっぱれ!」という気持ちになります。論文を読みながら、私自身のトラウマ領域の勉強の面もありますが、先生達の「不屈の精神の脳」と繋がっている事で、非常に「力」をもらえる感じがあります。
少しずつ複雑性PTSDの論文などを読み進めながら、ブログでご紹介していければと思います。
●参考文献
Joseph Spinazzola, Bessel van der Kolk, Julian D.Ford.(2021). Developmental Trauma Disorder : A legacy of Attachment Trauma in Victimized Children.Journal of Traumatic Stress, (0 ),1-10.
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