児童期性的虐待のトラウマと回復 2026/03/04 (水) 4:29 PM
段々と温かくになりますと、植物たちの成長が早くなっています。庭には零れ種のカモミールの芽があちこちに発芽しています。今年も白い可愛い花が咲きます。
また児童期性的虐待の論文を読み進めました。Johanna Schoderら(2021)の児童期性的虐待の心的外傷に影響を及ぼす、スティグマ(偏見)に対する研究です。
女性からの児童期性的虐待を経験した後、心的外傷の症状に影響を及ぼすと考えられるスティグマ(偏見)の問題についての研究。
<背景>
児童期性的虐待にさらされた個人のコンテクストの中で、また虐待について打ち明ける際の周囲からの反応は心的外傷のメンタルヘルスの中で大きや役割を示している。
女性からの児童期性的虐待の問題は、社会やメンタルヘルスの環境の中では認識不足となっている。その結果、偏見の元でサポートがされている事が考えられた。
<目的>
そして偏見によって被害者を責めてしまう事が、どんな風に心的外傷の重症度に影響を及ぼすかについて調査していく。
<方法>
女性からの児童期性的虐待の経験を報告した212人が対象。オンランで匿名で募った。
ITQ(The International Trauma Questionnaire: Whoが発行しているPTSDとCo-PTSDに関するテスト)を用い、分析過程の中で心的外傷の重症度がどうなっているかについて調査を行った。
被害者を責めてしまう事、そして児童期性的虐待への気付きが、どう個人のトラウマの問題に影響を及ぼすかを予想していく。また偏見を受けた事が、どうトラウマの問題に影響を及ぼすかについても調査した。
<結果>
児童期性的虐待に関連するスティグマを抱えてしまう事は、心的外傷の重症度に影響を及ぼし、被害者を責める事はトラウマの問題が悪化するという事がわかった。一方性的虐待についての認識やスティグマを予想できる事は影響が出ていなった。被害者を責めるという事はスティグマを植え付け、トラウマを悪化させてしまうという事がわかった。
<結論>
女性からの児童期性的虐待の問題と、その気付きを強調する事は必要とされ、そしてメンタルヘルスの専門家は被害者を責める事、それはスティグマとして心に残ってしまうという事について認識すべきであるとしている。
児童期性的虐待についての論文を定期的に読み進めていると、私自身「世界にはこの問題について、情熱を持って戦っている研究者がいるのだな」と思って、嬉しくなります。
当事者の生きる現実を「研究」という形で、世界に発信しようという専門家の方々に素晴らしいなという事を実感します。論文を読んでいて、物事の本質を的確に表現し、当事者のエンパワメントに繋がっている所が私の中で不思議と力をもらえる感じがあります。
この児童期性的虐待の問題は、多くのスティグマ(偏見)の影響を受ける領域でもあるかも知れません。しかしその本質を「研究」という形で眺めてみると、当事者の生きる現実と、時にその理不尽さに光を当ててくれるのだと実感致します。
児童期性的虐待の現実に光を当ててくれる研究者達に敬意を感じるのでした。
【参考文献】
・Johanna Schroder et all.(2021).The role of stigmatization in developing post-traumatic symptoms after experiencing child sexual abuse by a female perpetraor. European Journal of Psychotraumatology, 12-1.
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ご興味のある方はご参照下さいませ。
【執筆者情報】
大塚 静子
資格
所属学会
経歴
研究実績
研究実績はこちらをご参照下さい。
著書
『甦る魂』はこちらをご参照下さい。
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