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複雑性PTSD

トラウマ治療の可能性

複雑性PTSD   2024/10/30 (水)  5:45 PM

近頃は野菜の苗が随分と成長をしています。グリーンピースを定植しました。

これからの成長が楽しみです。

 

近頃は児童期性的虐待関連の論文を読み進めています。先日、興味深い論文を読みました。

 

Matine Hebert 他 (2024)の論文であります。児童期性的虐待の後遺症について、複雑性PTSDの枠組みで、どのような状況が起こっているかについての研究でした。

 

861人(6歳~12歳)を対象とした研究でした。児童期性的虐待の問題でPTSDと複雑性PTSDの症状がどの程度引き起こされてしまうについてでした。

 

その中でPTSD(40.7%) 、複雑性PTSD(26.5%) 、その他(32.8%)という結果が出たとの事でした。複雑性PTSDは他のカテゴリーを比較し、より対人関係の側面でのトラウマを抱え、他の群と比較して重症度が高い結果が出たとありました。

 

その中で興味深いのですが、著書は最後に児童期性的虐待に対する効果的な治療介入が必要であると述べています。

 

複雑性PTSDの特徴は、PTSDの症状に加えDSO(disturbances in self-organization )という部分があり、それらは性格傾向の問題についての指標となりなります。具体的には感情の不安定さ、対人関係の不信感、ネガティブな自己肯定感の三つの問題があります。

 

PTSDと比較しますと、複雑性PTSDはこれらの三つの側面の問題を抱えてしまうというのです。

 

師匠の大嶋先生がご提唱されているFAP療法を用い、複雑性PTSDの治療研究を行なった事があります。師匠のご指導とクライアント様のご協力の元、FAP療法ではどう複雑性PTSDの問題が解決していくか、複雑性PTSDの状態を測るテスト(ITQ:International Trauma Questionnaire )を用い研究をさせて頂きました。

 

結果として、平均面接回数6回で複雑性PTSD(6人)の状態だった方々の5人は、複雑性PTSDの問題をクリアした結果が出ました。FAP療法はトラウマの問題の中でも、もっとも重症度の高い複雑性PTSDの問題に対し、短期で改善を促す事ができる優秀な治療法なのだっていう事を実感したのでした。

 

これから少しずつ、児童期性的虐待に関連する論文を読み進めて行こうと思いました。

 

●参考文献

Identifying PTSD and Complex PTSD Profiles in Child Victims of Sexual Abuse, Martine Hebert, Laetitia Melissande Amedee & Amelie Tremblay Perreault, Journal of Child Sexual Abuse, 2024

 

大塚静子, 大嶋信頼,複雑性PTSD (DSO) に対するFAP療法を用いたトラウマ治療研究,第39回国際トラウマティックストレス学会,ロスアンゼルス,2023
(Shizuko Ohtsuka.,Nobuyori Ohshima.(2023). A Study on the Use of the FAP Therapy in Trauma Treatment for Complex PTSD (DSO). International Society for Traumatic Stress Studies 39th Annual Meeting, Los Angeles)

 

●ご興味のある方はこちらからご予約を頂けます。

 

【執筆者情報】

 大塚  静子

 

資格

  • 臨床心理士(NO:18162)
  • FAP療法上級資格取得

 

所属学会

  • 日本臨床心理学会
  • 日本ブリーフサイコセラピー学会
  • 国際トラウマティックストレス学会
     (International Society for Traumatic Stress Studies)

 

経歴

  • 2005年 アライアント国際大学/カリフォルニア臨床心理大学院 臨床心理学
    修士課程卒業
  • 2005年7月 アルコール依存症専門病院、周愛利田クリニックにて依存症治療に携わる。
  • 2009年7月 アダルト・チルドレン第一人者の斎藤 学先生がやっておられるIFF・CIAP相談室勤務。家族臨床、トラウマ治療について研鑽を積む。
  • 2014年7月 横浜にてカウンセリングルーム・グロース設立。
  • 2015年4月 浦和大学 総合福祉学部 非常勤講師 「心理療法」,「精神保健学」担当

 

研究実績

研究実績はこちらをご参照下さい

 

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