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児童期性的虐待のトラウマと回復

トラウマを越えて見える情熱の世界

児童期性的虐待のトラウマと回復   2026/03/11 (水)  4:30 PM

少しずつ暖かい季節に近づいていますと、花達も勢いづいています。スイトピーはかなり元気に成長し続けています。可憐なイメージがありますが、結構ガシッとした茎を伸ばしています。

 

また児童期性的虐待の論文について読み進めました。Saar Baert(2023)らのベルギーにある性的虐待の治療センターにおける、当事者が抱えるメンタルヘルスの問題と支援のあり方についての内容です。

 

性的虐待被害者のメンタルヘルスについて、ベルギーにある性的虐待ケアセンターにおける、心理士からのサポートを受けた際の回復する要件についての研究。

 

性的虐待は被害者のメンタルヘルスに対してネガティブな影響を及ぼすと言われている。性的虐待の問題に特化した施設では、医学的ケアを提供している。しかしながら、メンタルヘルスに対する支援について大きな幅があり、何が回復の要因になっているかがわからない状態である。

 

【目的】

この研究の目的はベルギーにある、性的虐待支援センターに来所した性的虐待の当事者のメンタルヘルスの問題について調査する事である。そしてそこに所属する心理士のどのようなサポートをどう当事者が用いたかについて調査していく事である。

 

【方法】

2017年10月25日から2019年10月31日間に、性的虐待支援センターに来室した当事者を記録したものをレビュしていく。当事者、虐待の状況、用いられた支援、メンタルヘルスの状態、その後のフォローアップについて調査した。

 

【結果】

555人の被害者の中で、半分以上がメンタルヘルスの問題を抱えていた。70%の人がPTSD、鬱う、不安障害を抱えていた。2人に1人の当事者は支援センターの心理士のサポートを受けている。

 

メンタルヘルスの問題を抱えていた当事者、急性期のケアを受けた当事者、知人から性的虐待を受けた当事者、見知らぬ者から受けた当事者は、センターの心理士の支援を受ける傾向が高かった事が分かった。

 

【結論】

性的虐待支援センターを訪れた当事者は、性的虐待によってメンタルヘルス抱えさせられたという事を再確認した。今後、効果的なメンタルヘルスを提供する必要があり、そして長期間にわたる支援について改善していく必要があると分かった。

 

電話でのリマインダーを用い心理士の予約を事前にチェックできる体制は、これらのサービスをより良くするものである。またメンタルヘルスの提供者は、これまで社会的支援を受けてこなかった当事者に対し専門家の治療を受ける際のメンタルヘルスの経緯、直面する潜在的偏見について注意深く対応していく必要があるとしている。

 

こちらの論文を読んでいて驚いたのは、系統だった性的虐待に関連する治療施設があるということでした。凄いな~って事を感じます。

 

2025年8月にロスアンゼルスで開催された国際性的虐待会議(National Sexual Assault Conrerence)に参加した際も同じ事を実感しました。

 

こちらの国際会議をバックアップしている団体はVALORという団体であります。カリフォルニアを基盤とした支援団体で、性的暴力の問題に対する活動をし続けている団体であります。

 

1980年に団体が設立され、多様性の世界の中でこれらの問題を解決すべくサバイバーとのネットワーク、アドボケイトを継続的に取り組み続けています。

 

昨年8月に参加した際、この問題に関わる当事者(支援者でもあります)、専門家、大学教授などの方々が情熱を持って問題に取り組み、そして誇りを持って活動する姿に感動しました。

 

アメリカにはすでにパワフルなコミュニティーができていて、互いが互いをリスペクトし合いながらこの問題に取り組む姿勢に「アメリカまで来て本当に良かった~!」と思いました。日本人の私はこの中でかなり異質な感じで、英語のコンプレックスを感じながら「どうして日本からやって来たか」って事を英語で伝えると「すご~い、日本から来たんだ~!」って反応があり戸惑った記憶があります。

 

情熱を持った世界の性的虐待の問題に取り組む方々と繋がる時、元気をもらえるのだな~って事を思うのでした。

 

【参考文献】

・Saar Baert et all.(2023).Mental health of sexual assault victims and predictors of their use of support from in-house psychologists at Belgian sexual assault care centers. European Journal of Psychotraumatology, 13-2.

 

・VALOR https://www.valor.us/blog/

 

●カウンセリングをご希望の方は、こちらからご予約頂けます。

 

●カウンセリングの具体的内容について(はじめての方へ)を掲載致しました。

ご興味のある方はご参照下さいませ。

 

 

【執筆者情報】

 大塚  静子

 

資格

  • 臨床心理士(NO:18162)
  • FAP療法上級資格取得

 

所属学会

  • 日本臨床心理学会
  • 日本ブリーフサイコセラピー学会
  • 国際トラウマティックストレス学会
     (International Society for Traumatic Stress Studies)

 

経歴

  • 2005年 アライアント国際大学/カリフォルニア臨床心理大学院 臨床心理学
    修士課程卒業
  • 2005年7月 アルコール依存症専門病院、周愛利田クリニックにて依存症治療に携わる。
  • 2009年7月 アダルト・チルドレン第一人者の斎藤 学先生がやっておられるIFF・CIAP相談室勤務。家族臨床、トラウマ治療について研鑽を積む。
  • 2014年7月 横浜にてカウンセリングルーム・グロース設立。
  • 2015年4月 浦和大学 総合福祉学部 非常勤講師 「心理療法」,「精神保健学」担当

 

研究実績

研究実績はこちらをご参照下さい。

 

著書 

『甦る魂』はこちらをご参照下さい。

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