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複雑性PTSD

トラウマの呪縛から解放されて自由に生きる

複雑性PTSD   2024/10/23 (水)  4:47 PM

先日、野菜の種を蒔きました。「うりゃ~!」って土を整理し、耕し、そして種を蒔く。

これから秋野菜の成長が楽しみです。

 

先月、学会に参加してから1ヶ月が経ち「これから自分はどんな事を中心にトラウマ治療の臨床家として歩いて行こうかな?」って事を時々考えるようになりました。

 

少しずつトラウマ治療の論文関係を読み進めています。色々な児童期性的虐待についての論文を読み進めています。

 

世界中の研究者や臨床家の方々が、このテーマについて研究をされています。色々な研究者が、児童期性的虐待の精神的な悪影響について統計的研究がされていました。

 

アメリカでの研究(Shannon Lynch 他,2024)では、146人の女性達の児童期性的虐待・大人になってからの性的トラウマの既往について調査し、それらがPTSD物質依存の問題(お酒、薬など)、解離性障害の問題とどう関連があるかについて調査したものでした。

 

全体の73%が児童期性的虐待のトラウマを抱え、50%が大人になってから性的虐待の問題を抱えていたとしています。そして全体の50%がPTSD、20%が解離性障害の問題を抱えていたとの事でした。全体の70%が過去に物質依存関連の問題を抱えていたとしています。

 

そして児童期性的虐待は大人になってからのPTSDの問題を予見し、そして大人になってからの性的トラウマは物質依存や解離性障害の問題を予見するとしています。

 

この論文を読んだ時、「非常に納得な結果だな」と感じました。幼少期におけるトラウマの問題を抱えてしまう事によって、その後大人になってからの「自由に生きる」という部分が楔を打たれてしまうという事なのだなと思いました。大人になってからの性的トラウマ、そしてPTSDの症状や物質依存関連、解離性障害を抱えてしまう。

 

児童期性的虐待のトラウマを抱えてしまう事によって、「自由に生きたい」と思っても、どうしても破壊の方向に引っ張られしまうという事があるのかも知れないと論文を読み進めていく中で思うのでした。

 

いかに児童期性的トラウマを受けた人達が、次のトラウマ(トラウマの再演による性的トラウマ)や物質依存に転換しないで介入や治療に繋がっていくという事が大切なのだなという事を思うのでした。

 

【参考文献】

Childhood and Adult Sexual Violence Exposures as Predictors of PTSD, Dissociation, and Substance Use in Women in Jail, Shannon Lynch , Shelby Weber, Stephanie Kaplan & Elizabeth Craun, Journal of Child Sexual Abuse, Volume33,2024-Issue4

 

●ご興味のある方はこちらからご予約を頂けます。

 

【執筆者情報】

 大塚  静子

 

資格

  • 臨床心理士(NO:18162)
  • FAP療法上級資格取得

 

所属学会

  • 日本臨床心理学会
  • 日本ブリーフサイコセラピー学会
  • 国際トラウマティックストレス学会
     (International Society for Traumatic Stress Studies)

 

経歴

  • 2005年 アライアント国際大学/カリフォルニア臨床心理大学院 臨床心理学
    修士課程卒業
  • 2005年7月 アルコール依存症専門病院、周愛利田クリニックにて依存症治療に携わる。
  • 2009年7月 アダルト・チルドレン第一人者の斎藤 学先生がやっておられるIFF・CIAP相談室勤務。家族臨床、トラウマ治療について研鑽を積む。
  • 2014年7月 横浜にてカウンセリングルーム・グロース設立。
  • 2015年4月 浦和大学 総合福祉学部 非常勤講師 「心理療法」,「精神保健学」担当

 

研究実績

研究実績はこちらをご参照下さい

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