コラム 2025/07/16 (水) 7:36 PM
どうしても今日は人に会いたくない、独りでいたい。今日は無性に人と出会いたい 。
人間関係にはたった二つの方向しかないようです。どんな人間もこの二つの方向を持っています。 「どちらかひとつの方向にして!」と相手に強制はできません。しかし、パートナーにこれを強要する人も皆無ではなく、「独りでいたい」を許さない人もいます。
そして、どうしてその方向に行こうとしているのかが、明確にわかっていないことがあります。 しかし、人間の本能はそれがわかっているフリをします。 本能としての恋や性愛は盲目な時があります。しかし、人間は脳の前頭前野が発達しているせいか、否定的にそれを過ちと呼んだり、また、それを肯定的にロマンスと言い換えたりします。
しかし、おおよそ本能の恋愛は短命で結果はよくない場合が多いように思えます。 本能の何がいけないのでしょうか。本能は生物が学習や経験なしに生得的に持っている衝動であり、思考や理性的な判断が機能していないからです。関係を安定させ、長続きさせるには、当然ですが相互理解が不可欠です。 相手を尊重し、自分も尊重してもらう。けれども、多くは相性という漠然とした価値判断がお互いを理解することよりも優先しているために、関係改善に至らない場合が多いのではないでしょうか。愛情の理想形は相手の矛盾点をも尊重し、それを受け入れることだからなのでしょうか。 ところが、今度はその尊重量を天秤に掛けて、私の方が3 g少ない、否、おれの方がこの間5gも少なかったじゃないかと自我欲を掛けた争いがはじまったりします。
理想のタイプ像の定番に「好みのタイプは行動的でぐいぐいと引っ張ってくれる人」というのがありますが、実際に蓋を開けてみたら、ただ単にそのパートナーが衝動的なだけだったという場合もあります。このとき「好みの人は衝動的なタイプ」と表現できれば、間違ってはいないでしょう(そもそも衝動的な人が好みという人は聞いたことありませんが)。こうした誤認はつき合って随分経ってから気がつくものです。相手への気づかいやおびえがこの判断を鈍らせていることがあるからです。
実は相手へ自分の本心がつたえられないこと:(ところが当人は本心を相手に伝えていると自己暗示をかけている場合もあります。自己対話不全と孤独の損傷)
相手の実像が見えず、その後ろの別の人物(理想)を見ていること :(自分の安心感が恋愛ではなく親の情緒が安定することにすり替わっている)
おびえや恐怖心から内省や自分との対話が機能していない:(トラウマの問題)
心のこうした問題が、人間関係を重荷にしたり、破局ばかりで恋愛をストレスに思わせる原因となってはいないでしょうか。
この状態では、自分も他人も理解できずに、実像が見えず衝動だけが優先して短命の恋愛を繰り返す可能性は高くなると思えます。
ある環境の中の私と、ある環境の外の私は、その環境をその日の気分や感覚で、そこに参加したり回避したりすることができます。地球に住んでいる以上、私たちの心は日々、このように反応しているのが定番です。
私たちの感覚や気分には嘘がありません。嘘があると心に不快な無理をさせます。不快な無理を好意や協力と誤用している場合もありますのでよく観察してみましょう。
自分に、あるいは相手に嘘をつくときは不快な無理をするときです。不快な無理はなぜ起きるのかというと、相手に圧倒されるからです。その相手は強く、大きく、脅威で、私を緊張させ、場合によっては拒絶されて、罵られ、寂しい私だけがポツンと取り残されているような、そんな不安が心の何処かに居続けますと、いつもこの不安の物差しで、人の顔色を伺わなけれならなくなってしまうでしょう。
不安は自尊心の低さや自己否定感で自分を安心させる場合もあります。ダメな私に酔っていても、一時的に振り向かれては見捨てられるを繰り返します。
不安を物差しにしながら、自分の感覚や気分に嘘をついて相手に合わせて無理が連続しますと、当然、人間関係が非常に面倒となり、こんなストレスを感じるのなら、もうこんな環境の外に居ようと、インドアになって引きこもるのは自然なことです。
しかし、それが長期化すると、このままではダメとか、生きてゆけないとか、人間社会から取り残されるとかで、結局、不安がついて回ることになり、逃亡に失敗してしまいます。
自分に気づきが生まれない以上、変化は訪れず、どっちに転んでも不安とおびえから、再び不快な無理をした恋愛で人間関係を演じることになるでしょう。
人の期待に応え、自分の期待にも応えてもらう心理には、得体の知れない自分という名の不安がパートナーに投影されて、交わることの絶対にない各々の人間の孤独を融合させようという無茶な企てにエネルギーを注いでしまうでしょう。相手の孤独には介入できません。
また、自分の孤独に誰も入ることなどできません。それ故に、全部の人間は孤独を飼い、孤独をケアし、成長しようとするのでしょう。
ある環境の中の私と、ある環境の外の私は、何処に行こうとしているのでしょうか。東西南北、上か下か右か左か、その方向さえわかれば、どんなに安心できることでしょうか。
それがわからないから大勢の人を基準にして、消費活動をしながらその時代の雰囲気に巻かれていると安定剤として機能します。ただ、恋愛のような「私を知ってほしい」、「私を受け入れてほしい」、「あなたを知りたい」という願望が渦巻く人間関係では、大勢の人たちを基準にしてしまうと、パートナーに嘘をつき続けることになります(もちろん、自分にもですが)。
また、パートナーの期待に応えなければという不安から愛と信頼を演じ続ける関係となれば、そのストレスが負担となって、いづれ破局してしまいます。
こうしたことを考慮しますと、自分自身が何を感じ、どうしたいのかがわからず、大衆として人間集団の一員となり流行を基準に判断をしつづけることは、恋愛などの人間関係に悪影響を及ぼすでしょう。流行や大衆にどっぷりつかることは、自己をはぐらかし相手を知らぬまま虚栄心ばかりが先行します。一見華やかですが、いずれは疲弊した関係になってゆく可能性は高いでしょう。
けれども、この状態を選択する原因が、人を怖い存在に思ったり、男性あるいは女性への恐怖症だったりしている事実、いわゆる、トラウマの恐怖によって仕方なく長いものに巻かれて大衆の中に埋没している場合もあります。
相手の事も知らず、もちろん自分の事もわからないまま、年齢的に結婚をあせります。スマホ片手に、たくさんの情報から恋愛の状況や二人で暮らすための役立つアドバイスをもらうでしょう。
定番の行楽地やアミューズメント、評判の飲食店、ファッション、イベント、「映える&とバズる」、アクセス数の高さ、フォロワーなどが、いよいよ大手を振り、消費活動が活発される装置の中で、私たちは今流行りの「本当の自分」、「本来の私」を見つけているつもりが、まんまと世界の大企業の罠に引っかかっているだけなのかなと、言葉にはなっていないかもしれませんが、心は漠然とわかっていることはないでしょうか。
消費活動を活発にする最近の企業戦力は実に巧妙です。それは「みんなが同じ」を隠蔽した個別的でオリジナリティあふれる商品戦力で、限定商品やバリエーション豊富なカラーを選べるファッションなどを陳列し、個性の代名詞と言っても過言ではないアーティストライクに自分を演出することができるからです。
髪型などはその典型で、カラフルで個性的な髪型をどこでもよく見かけるようになりました。これが悪いことと言っているのではありません。こうしたオリジナリティや自分らしさの型ばかりが先行し、その型に入り込めば本来の私が完成したかのように思えてしまう怖さが自己の行方を見失わせてしまう原因のひとつになりかねません。世界はこのようにトリックだらけのようです。
強面で入れ墨がTシャツから見える近寄りがたい人物が、酷暑で疲弊したお年寄りを見て「おばあちゃん、大丈夫!?一緒に渡ろうよ」と横断歩道でおばあちゃんの手を引いて渡る姿を想像しましょう。
この時のギャップに不思議な魅力を感じる人は多いのではないでしょうか。強面と入れ墨とのあまりのギャップに「この人、一体どういう人なの!?」と好感度がUPするのは何故でしょうか。それは、入れ墨強面という型を破ってくれたからです。本来関連のないモノが関連をもち「解剖台の上でミシンと傘が出会ったように美しい」からではないでしょうか。わたしたちの個性や感覚は、こうした型を破る能力が本来備わっていて、それを「本来の私」と言うのかもしれません。
自由に表現が出来て、人生を楽しめる可能性も持っている。自然に感じたことを表現したら、私もパートナーも喜びの中にいた。それを見て安心感と「これでいいのだ」という声が聞こえてくる。そんな恋愛関係が訪れますように、あなたの中にあって決してあなたからは出て行かない、独りぼっちの孤独の声を社会の雑音にかき消されないように注意してください。
現代は消費とソーシャルネットワークの過度の利便性がもたらす情報氾濫で、我々の頭も心の中も雑音だらけなのが当たり前になっています。その雑音が脅えや恐怖心のトラウマをさらに隠蔽して、時には依存症に導いたり、時には適応障害を発症させたり、時には機能不全家族のシステムを保持するための都合のよいアダルトチルドレンになっていたりと、姿かたちを変えて恋愛にも影響を及ぼしている場合もあります。
孤独は孤立でもなく、引き込もることでもなく、あなたの大切な司令塔です。 どうかSNSやインターネットの情報による気晴らし過多にはそのオリジナルな孤独を壊されないようにご注意下さい。
●カウンセリングの具体的内容について(はじめての方へ)を掲載致しました。
ご興味のある方はご参照下さいませ。
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【執筆者情報】
大塚 静子
資格
所属学会
経歴
研究実績
研究実績はこちらをご参照下さい
著書
『甦る魂』はこちらをご参照下さい
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