コラム 2025/10/08 (水) 12:51 PM
自分のパートナーの健康を自分が一番願っていたはずなのに、パートナーがトラウマから解放されて自立し、健康で元気になってゆくと、ケアするという自分の役割が消失したため、思わぬマイナスの感情が虚無感や疲労感と共に沸き起こり、自分が信じられなくなる場合がトラウマを通じた人間関係の中では頻繁に起こることがあります。
・パートナーの自立や自由が許せない
・相手がどんどん元気になって活躍しはじめると、自分が見放されてゆくように感じる
・相手が自立してゆくと、感じてはいけない憎悪、嫉妬心、皮肉な感情が沸き起こり葛藤する
こうしたネガティブな感情を自分の中に抑え込もうと、抑圧すればするほど、自己嫌悪が高まり、ケンカや言い争い、些末な話題でも度を越えた自己主張や競争心などで、人間関係にうんざりしてしまうことはないでしょうか。
この人間関係をうんざりさせる感情を、仮に「隠れている感情」と呼ぶことにして話を進めてゆきましょう。
その隠れている感情とはどんな感情でしょうか。 それは我慢、努力、忍耐、従順、協調性、波風を立てないなどの言葉でフタをされていますね。
そのフタが開かないことで、私たちの日常生活は安定させ、リズムを獲得しようとします。そしてそこには自分が「選ばれた人間」で自分がいないと相手へのケアは成立しないという過度な役割へのイメージが、陶酔感を伴ってケアするという役割に没頭させていたりします。
そして、我慢、努力、忍耐、従順、協調性、波風を立てないなどの言葉の裏側には、自分へのご褒美を期待する感情が隠れたところで支配しています。 だから、割に合わなかったり、不公平だったり、自分が損をしていたりすると、抑圧できずに感情的になったり、時には破壊行為をしたりするでしょう。
人間関係は、こうした状態に陥らないようにバランスを取りながら日常生活をととのえようとするでしょう。感情が不安定ですと、相手を振り回し、自分も振り回されます。振り回されるとは、安定していないことですから、自ずと信頼関係や自信を失うでしょう。
「昨日はあんなに陽気で楽しい人だったのに、今日は何か不機嫌でイライラしてる」
こんなことが毎日毎日起きていたら、その人間関係は非常にくたびれるものになってしまいます。しかし、当の本人は、それを当たり前な心の状態と思い込ませて生活していることに、全く気づくことができないでいる場合があります。
心を不安定で不快にさせる原因としては、自分の中にネガティブな感情が「隠れている」と理解してしまっていることが挙げられます。
それを「わたしがやむを得ず隠さなければならない感情」として把握することで、心はあなたを慰め、あなたに寛大になり、優しく自分をゆるしてくれるようには感じませんでしょうか。
「私の隠さなければならない、隠さなければ日常生活を恐怖から守れなくなる」
そんな感情を、一般にはトラウマと呼んでます。
あなたの無意識がしている「隠さなければならない」という判断とその行動に疲弊してしまった時は、一旦、人間関係とは距離を置いて、自分の心の声をしっかりと聞き分ける時間が大切でしょう。
隠さなければならない感情を常日頃から心に常駐させて、家事育児学業に労働をこなすことは超人的で過度のストレスを生むのは当然です。
行く末はこの重荷から解放されるあなたはとても自由で空に浮かべるほどの自由を感じれるかもしれませんから、トラウマから解放された時の自分を想像し、世界に放射状に延びてゆく可能性を見つけてください。
我が子の体調が芳しくない時に、「私でなくては」という思いが生まれ、そこに強い役割を感じて献身的に見守り助けたい気持ちが沸き起こった経験はございますでしょうか。しかし、子どもが健康に向かうと、その役割(生き甲斐)が消滅して、何も残らない自分にイライラを感じ、子どもに今度はマイナスの感情で接した経験はないでしょうか。
恋人から自分のトラウマの問題を相談され、あなたは彼女あるいは彼氏への親身なアドバイスや献身性を通じて仲を深めてゆきます。いざ、恋人がそのトラウマから解放された途端に、彼女あるいは彼への関心が消えてしまった経験はないでしょうか。そして相手への不満や怒りが、言葉にできず、心にくすぶってしまいます。
このような隠れた感情の大前提には必ず人間関係があり、関係することで自分の役割、報酬、喜びを、相手からもらおうとします。
しかし当人は、それを相手にしがみつく行為だとは微塵も思ってませんから、相手の自分への好反応を強く強く期待してしまうのです。
メサイアコンプレックスや共依存の人は、こうした人間関係に無意識に執着しています。
自分の甲斐甲斐しいケアで相手はどんどん健康になって活躍し、トラウマから解放されて自由になってゆくと、ケアをしていた方は、ぽつんと独り、取り残されて追い抜かれたような敗北感を非常に深い孤独とともに味わう状態に置かれます。
加えて、相手の世話焼きへの失望感と虚無や相手のトラウマ相談を親身になってしてきたことから生じた二次的トラウマ(secondary trauma)の被害を受けているケースは非常に大きいため、恋人やご夫婦、親子間でトラウマをケアしたり、ケアされたりの関係が過去にあった場合は、心理カウンセラーによるその関係システムへの心理ケアが非常に重要です。
セカンダリートラウマは、直接的にトラウマに関わっていないけれど、当事者のサポートをし続ける事でPTSDのような症状を抱えてしまう状態をさします。またサポートし続けている経過の中、自分の中に相手への思ってもみないマイナスの感情(怒り、嫉妬、支配、過干渉、暴言、暴力など)が現われたりしますから、どのようにパートナーと関係してよいのかがわからなくなり葛藤を感じさせるでしょう。
ケアされた側が元気になってゆくと、ケアしてきたあなたは物足りなさや不満を感じたことはないでしょうか。そして、ケアされた側が健康に自立しはじめると、以前の状態に戻ってほしいという欲求が生まれて、相手の自立を阻止したい憎しみの感情が意識に昇ってきませんでしょうか。相手への幸福と怒りが同居する葛藤に苦しんではいないでしょうか。
お心当たりがございましたら、ご来室をお待ちしております。
●カウンセリングの具体的内容について(はじめての方へ)を掲載致しました。
ご興味のある方はご参照下さいませ。
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【執筆者情報】
大塚 静子
資格
所属学会
経歴
研究実績
研究実績はこちらをご参照下さい。
著書
『甦る魂』はこちらをご参照下さい。
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