児童期性的虐待のトラウマと回復 2026/01/27 (火) 9:42 PM
先日はえんやこりゃとジャガイモの土づくりをしました。バケツ型のコンテナ5つに土を入れて、春になったらジャガイモを植え付けようと思います。布製のコンテナなので非常に便利な代物です。
日々、さまざまな方々の回復される姿を拝見しています。少しずつ生きる力を取り戻し、広い世界を生きてこられていらっしゃるな~って事を感じます。
本当によく頑張っていらっしゃいます。
児童期性的虐待に関連する論文をまた一つ読み進めました。それはLimor Goldner(2024)らの児童期性的虐待を受けた思春期の人の心的外傷後成長についての研究です。
心的外傷後成長(PTG:Posttraumatic Growth)とはトラウマや危機的状況という苦難を乗り越える過程で、人として前向きな変容を遂げる心理的プロセスをさします。他者との関係性、新たなる可能性、個人としての強さ、人生への感謝、精神的変化の5つの領域でトラウマ前以上の成長や人間的強さを述べているものです。
心的外傷後成長はサバイバーの人生に対する認知的、感情的、行動的なポジティブな変換についてである。しかしながら児童期性的虐待についての心的外傷後成長を後押しする要因についてあまり知られていない。
今回の研究では、どのような潜在的な要因(自分に対する見方、解離傾向、虐待の重症度、症状の苦しみの度合い)がどのように心的外傷後成長に関与するかを調べた。70人のイスラエルの思春期の人達を対象とし、彼らは親からの性的虐待を受けた経緯があるとしている。
研究では、どのようにサバイバーの虐待に対する見方、解離傾向、症状の重症度が性的虐待と心的外傷後成長と関連するかについて調べた。
研究結果として、虐待を自分の経験として認めている感覚が低い場合、心的外傷後成長の度合いも低かった。一方、虐待を受け止めている傾向が高い対象は、より解離傾向が低く、そして高い心的外傷後成長を遂げていたとしている。
上記の論文から、つまりトラウマの症状の一つとして感覚麻痺のよる解離の状態が続いている場合、トラウマからの回復というのは停滞してしまう可能性があると考えられるかも知れません。
その中で、ご自分のトラウマの経緯をまず認め、そして向き合いながら手放してく。そのステップの中で心的外傷後成長を遂げていくのだと、論文の中で述べているように感じました。
戦場のトラウマを生き抜いて来られた経緯を自分の過去として受け止め、そしてそれを肥やしとして、生きる力としていく事。それがトラウマの過去を経て未来を豊かにしていくのかも知れません。
「トラウマ」というと非常にネガティブなイメージが深くあります。そこからの回復を経て成長をしていく考え方は、サバイバーにとって非常にエンパワメントであるという事を実感します。
相談室には多くの方々がご来室され、彼らのトラウマの歴史をお伺いさせて頂きながら、回復のステップを拝見させて頂きます。トラウマからの回復と共に、過去の呪縛から解放されて、過去を認めた上で、ご自分の経験の一部として受け止め、その上で必要なもの、必要ではないものを見極めながら、ご自分の未来にとって大切なものを携え自由に生きて行かれます。
この論文を読んでいて納得だなって思いました。トラウマの回復として大切なステップは「認める」という事を感じています。戦場で生き抜いて今があるという事を「認めていく」。
そうしていくことで、過去のトラウマはご自分を脅かし抑圧しておかねばならない対象ではなくなってくるのです。過去を一つ一つ手放し、それを未来を生き抜いていく「力」としていく。
トラウマを意味付けしながら、未来の自分を生きるための肥やしとして自由に生きる。それが心的外傷後成長なのかも知れません。
【参考文献】
・Limor Goldener et al.(2024). Understanding Post -Traumatic Growth in Adolescent Survivors of Childhood Sexual Abuse.Journal of Loss and Trauma.19,3017.
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ご興味のある方はご参照下さいませ。
【執筆者情報】
大塚 静子
資格
所属学会
経歴
研究実績
研究実績はこちらをご参照下さい。
著書
『甦る魂』はこちらをご参照下さい。
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