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コラム:約束を守れない人たち 

コラム   2024/11/07 (木)  12:33 PM

約束を破ると信用を失ってしまう。相手からの信用を取り戻すのに時間がかかり、社会的な評価も落ちてゆくでしょう。約束を破る行為にはよいことはありません。よいことなどないのに相手を変えては何度も約束をやぶってしまう。

 

当の本人にとって、約束を破る⇒信頼を失う⇒低評価という悪循環を手放せないのは何故なのでしょうか。また、約束を守れないのに約束をしてしまう行為にはどのような心理的背景があるのでしょうか。 

 

元々は約束を破るつもりはなく、当然、相手を揶揄することが目的でもないのに、何故かあなたの日常生活のルーティーンが、気がつくと守れない約束を相手と結んで、人間関係がこじれる経験を何度も繰り返してはいないでしょうか。 

 

約束を守れない人たち:約束の意味がわからない環境の中のトラウマ 

 

そもそも約束の重要性を理解していないと、人は約束が守れないでしょう。かと言って、その約束を破る人は、相手に悪意があって約束を破っている訳ではない。約束を簡単に破る養育者がいた。約束の重要性を教えてもらったことがない。大言壮語で頻繁に嘘をつく養育者がいた。

 

言い訳をしてはアルコールやギャンブルなどに溺れる養育者がいた。こうした環境では、嘘や約束を破ることが、現実回避のための鎮静剤になるため、むしろ心地よいものとして捉えられてゆくでしょう。その反面、自分を現実的に機能させる認知が失われます。その原因は暴力、ネグレクト、虐待、恐怖体験などのトラウマをもった養育者の影響が強いケースはたくさんあります。 

 

また、トラウマ記憶で日常が支配されますと、実際に目の前で関係している人物像の中に、脅えや疑い、恐怖、動揺、緊張などが先行します(当人はそのことに気がつけません)。手段を選ばずその場を円滑に、快く、楽しい雰囲気の中で終わらせなければという回避行為が相手との約束を守ること以上に重要になっているかもしれません。 

 

この自分に嘘をついてしまう心理的背景によって、ほんとうは恐怖にさえ思える人間関係と帳尻合わせをしなくてはと焦って、つい嘘でその場を乗り切り、相手を喜ばせますが、何度も繰り返すうちに無理がたたって社会的信用を失ってしまいます。けれども、「約束」という意味の重みに出逢うことができません。 

約束を守れない人たち:相手からの印象 

インターネットで「約束を守れない人の特徴」を検索しますと以下のように書かれています。 

 

相手のことを考えていない。人のせいにしたがる。無責任である。思いつきに左右される 

言い訳が多い。劣等感が強く見栄を張ってしまう等 

 

これらの言葉を聞くと、反省する前に、違うんだ!そうじゃないんだ!という自分の叫びが聞こえませんでしょうか。その正体は何でしょうか。何がどのようにして、あなたに「違うんだ!」と叫ばせているのでしょうか。 

約束を守れない人:外に向かう約束と内に向かう約束 

 

そもそも約束とは何でしょうか。 

約束には必ず対象があります。そしてその対象に心理的、情緒的なものが入っていますね。「人間として当然こうあるべき」という道徳的判断も加えられます。 

 

約束を別の言い方ではルールと呼んだりします。ルール違反は罰金や懲役刑、退場、拘置、出場停止などの処分があります。つまり、約束やルールに反すると、必ず罰則が加えられます。 

 

親しい人とする約束を破ると、その親しさもあっけなく、恋人、友人、妻、夫から見放されて孤独に陥ってしまうでしょう。 

 

このように約束には社会性が必ずつき纏います。それ故に、人間と人間とを結ぶ糸として約束は機能しています。 

 

上に挙げた約束は相手とする約束、すなわち、「外に向かう約束」と呼んでみます。 

それでは、「内に向かう約束」とは何でしょうか。 

約束を守れない人たち:「内に向かう約束」わざわざ約束がやぶれる状況を作る心理 

 

「内に向かう約束」とは、自分自身とする約束のことです。この場合の約束とは、信念、信条、ポリシーなどと呼ばれます。常に発展途上の中に自分を置いて、目標に向かっている人は自分の中に約束をもっています。 

 

その約束は居心地がよいかもしれません。だから手放せません。時には自分を輝かせてくれくれるイメージで私そのものを喜ばせてくれます。ルーティーンとも呼ばれたりします。これを「輝ける約束」と呼んでみましょう。 

 

そうかと言えば、「ああ、やめたいけどやめられない」という自分や他者にとって百害あるとわかっているのに、つい衝動に駆り立てられて、「またしても、自分は自分との約束を破ってしまった」と絶望感ばかりを増幅させる約束もあります。これは一般に「できない約束」と呼ばれています。ところがです。心に聞いてみてください。 

 

できない約束をすることで、社会と自分と他者から「あなたは約束が守れない人」というレッテルを貼られる苦しみを、なんとなく理不尽に思えて納得がいかないと感じた経験はないでしょうか。何度も相手との、あるいは自分との約束を破っているのに理不尽を覚えるとは、どことなく矛盾しているように思えます。だからそこに答えを見出そうと、またしても「約束破り」の状況をあえて設定して自分を試そうとするかのようです。  

 

それでも結果は同じで、あいかわらず答えは見つからず、周りからの評判は悪くなるばかりです。 

 

学業、仕事、恋愛関係、夫婦関係 「ちがうよ!そうじゃないんだ!!今度は絶対に守るから、、、、、」と相手に弁明しても、仏の顔も三度までと不合格、降格、失恋、離婚という結果になった時の、あなたのその「そうじゃないんだ!!」の起源はなんでしょうか。社会的にも人間的にも評価が下がるのに、何があなたに約束を破らせているのでしょうか。きっと手放せないものがあるのかとは思いますが、、、、。 

約束を守れない人たち:退行 

私の中の「ちがうよ!そうじゃないんだ!!」の起源は、心の無意識領域の感情であるため、ルールをひっくり返すエネルギーが充満しています。ちょうど、小さな子どもがお母さんに思いつきで「あれ買って!これ買って!」と、ついこの間、買ったばかりのおもちゃをおねだりして、挙句の果てに大声で泣いてお母さんを困らせる、「慢性的約束破り」は、防衛機制では「退行」の側面を持っているかもしれません。

約束を守れない人たち:問題点を問題と思わせない、「気づき」を奪うトラウマの力 

 

「外に向かう約束」と「内に向かう約束」が機能した時に、必ず、相手も自分もリスペクトできます。そして、お互いに助け合いながら良好な関係が生まれます。仲良くする、不機嫌や皮肉が減少する、多くを求めず安定する、生きる楽しさを感じる。 

 

自分の実生活全般が過去のトラウマによって乗っ取られますと、トラウマは現実を解離させ過去の記憶ばかりで日常生活を支配します。「なぜ私は相手との約束を破ってしまうのか?」という本来の問題に気がついたフリをしますが実際は気がつけません。 

 

「約束を破る側」と「それを裁く側」という二つの役割を、トラウマに演じさせられてはいませんでしょうか。周期的に繰り返す夫婦ケンカと仲直り、恋愛と失恋を繰り返す、いつも感情的になって破局をむかえてしまう習慣、負の自暴自棄に陶酔する癖など。 

 

カウンセリングの中で、この気づきに出逢えるお手伝いができればと思って治療に取り組んでおります。お心当たりがございましたら、当カウンセリングルームへのご来室をお待ちしております。

 

●ご興味のある方はこちらからご予約を頂けます。

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