複雑性PTSD 2022/05/22 (日) 6:18 PM
今日、チラッと庭コーナーを眺めていました。野菜の苗などがズラッとあります。先日タネをまいた朝顔がちょっと発芽をしていました。
朝顔の発芽は早いですね。これから夏に向けて朝顔の成長が楽しみであります。
これまで家族問題、トラウマ治療の分野を歩いて来ました。その世界は非常に奥深く、今でも回復されるクライアントの皆様の姿に学びながら、臨床家として歩いています。回復されて行かれる方々の本来の姿は非常に美しいですね。
その中で実感して来た事は、トラウマは世代間で連鎖してしまうという事です。師匠の大嶋先生も仰っておられました。トラウマを受けた人はトラウマの再演をするか、もしくは逆再上演をするかのどちらかになってしまうという事です。
つまり「あの親のようになるまい」と思っていたけれど、実際に新しい家族やパートナーとの関係や子育ての中で、トラウマの再演関係が起こってくると言う事です。
複雑性PTSDの論文などを読み進めていますが、親密な関係における暴力の問題は、過去に暴力を受けている人との関連があるとありました(Ohad Gilbar, 2020)。
親密な関係というと夫婦やパートナーや親子関係などがあります。本来、家族というのはいわゆるシェルター的な存在で、外の環境で戦って何か問題を抱えた時、支え合う関係となる場所かもしれません。
しかし上の世代、親からの暴力やトラウマなどを抱えていますと、ご自分にとって大切にしたいパートナーや子供に対し、本意ではない形でトラウマの連鎖として影響を及ぼしてしまうのです。
多くの方々は、ご自分の中にある怒りや破壊の感覚を恐れ、そしてご自分を嫌悪されている場合があるように思います。ただ、これはトラウマによる反応によって、操られているという状態なのですよね。
過去の機能不全家族の中で生きていた時、子供の頃のご自分が受けいた虐待のトラウマが症状として出ている状態と言えるかもしれません。
「あの親のようになるまい」と強く思って、努力に努力を重ねているけれど、トラウマ化してしまっているので、その感情に操られ、ご自分が求めていない展開となってしまう。
当相談室では、幼少期のトラウマの問題に対して、短期で効果を発揮するFAP療法を用いトラウマ治療をご提案させて頂きます。トラウマの再演の状態は、トラウマを受けた時の記憶と感情が整理されていないことによるものであります。
記憶が整理されていない事によって親密な関係がトリガーとなり、そのトラウマのスイッチが押されてしまい、当時のトラウマの感情が今現在の人間関係の中で飛び出してしまう結果、トラウマの再上演をしてしまったりするのです。
FAP療法によって安全な形でトラウマを過去の出来事として整理していく。すると目の前にいる家族を大切にして行く事ができるのです。
家族は安全基地となり、そして互いを支え合い育む場所として機能して行くのです。
<参考文献>
Ohad Gilbar ., Julian Ford.(2020). Indirect effects of PTSD and complex PTSD in the relationship of polyvictimization with intimate partner violence victimization and perpetration among men in mandated treatment, EUROPEAN JOURNAL OF PSYCHOTRAUMATOLOGY2020, 11( 1).
●ご興味のある方はこちらからご予約を頂けます。
【執筆者情報】
大塚 静子
資格
所属学会
経歴
研究実績
研究実績はこちらをご参照下さい
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