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アダルトチルドレン

コラム:アダルトチルドレンの心の声

アダルトチルドレン   2022/03/13 (日)  4:29 PM

「人間に脅かされないためにも、空気を読み、先を考え、時には嘘も必要だ。人間を楽しませること、一目置かれたりすること、よい結果を出してみんなの役に立つこと、弱いフリをしてみること、こうしたことは人間を楽しませ、元気づけ、よい評価を私に与えてくれるし、何よりも私を人間恐怖から解放してくれるから自分も安心できる」 

 

アダルトチルドレンが社会生活を生きる時、上のような無意識の声によって動いているかもしれません。この声(心)は行動(体)と結びついていますから、意識し、内省して「自分の心に聞いてみよう」と本気で思わないと聞こえてきません。 

 

幼少期に受けた親からの虐待、ネグレクトなどのトラウマは心と体のバランスを崩し、体は勝手に嫌な磁場へと引き寄せられ、心は深い所で苦しみ叫んでいます。自分の心の声が聞こえていないと、過去の虐待や暴力、ネグレクトを自分が受けて来たという自覚が起きません。トラウマは内省を奪います。 

 

その叫びは例えば、たくさん食べて嘔吐をする自分や、まったく食べずに痩せ細ってゆく自分を表現するかもしれません。アルコール依存症の父親がかき乱す家庭内の問題を一手に引き受けて、「お母さんを安心させるにはどうしたらいいの?」と自分のやりたいことを常に放棄しているかもしれません。

 

子供の自分が離婚した母の将来を考え、「自分がいないと母はこのうちで独りぼっちになる」とその心は感じ、異性との出逢いや結婚の機会に恵まれていないかもしれません。 

 

「なぜ不快な方向へ、どうして損ばかりする場所へ引っ張られるのでしょう? きっと人間に嘘をつき続けている罰なのかもしれない。」 

 

こうした罪悪感の声が再び、他人への世話焼きや、人を笑わせたり、楽しませたりすることを増幅し、心身共にヘトヘトになって過食や拒食、リストカットや依存症などの非生産的な表現にエネルギーは浪費されてしまうかもしれません。

 

「自分は人間が怖くて人間に嘘をついている。けれども問題なのは、自分が自分の心に嘘をつくクセがあることかもしれない。一体、このクセはどこで覚えたの?」 

アダルトチルドレンと機能不全家族

 ・母は病気で家事がまったくできない、それで父とケンカをする 

 (わたしが何とかしなければならない) 

 

・アルコールが入ると感情が爆発して、モノを壊し怒鳴る父と逃げる母と子  (母の涙は絶対に見たくない。面白い話をしなければならない) 

 

・離婚するかしないかで揺れる夫婦 

 (自分が悪人になれば、警察沙汰を起こせば父も母も結束する) 

 

・働き者の父と母の下に生まれた自分は、経済的には恵まれていたが、社会的地位の高い両親は 自分に「手間のかからないことが、いい子の証なのよ」というメッセージを「○○ちゃん、頼むから仕事の邪魔をしないで、いい子だから」という文句に刷り込んでいた。 

 

親にアルコールやその他の依存症の問題があったり、虐待経験によるトラウマを抱えていますと、トラウマの問題は下の世代に影響を及ぼしていきます。

 

親が自分の感情を制御できず問題をまき散らす姿を見て、家庭の団欒とは程遠い不安や恐怖を子どもは慢性的に感じてしまいます。子どものその恐怖や不安はトラウマとなって日常生活の中で慢性化し、複雑性PTSD障害のような症状を発症し、生きづらさの問題を抱えてゆきます。 

 

「何かしなければ家族が大変だ!なんとかしなければ、~しなければならない、、、、、」 

 

こうして自分の心の中の「私は~がしたい」という感覚は解離し、凍結し、他人を中心にした生き方を運命づけられてしまったと勘違いをしてしまいます。 他人に向かってゆくエネルギーや才能の前に”鏡”を置いて、エネルギーのベクトルをご自分に向けることが、治療の上で非常に大切になって来るかもしれません。 

 

機能不全家族の子どもは、次にあげる5つの役割の中から、この家庭環境に適したものを本能的に選択します。その家庭が劣悪な環境とはいえ、生き残ろうとするために、その子どもは頼れない親を抱えて最大限に力発揮して、自分を自分自身で守ろうとしてゆきます。過酷な環境で育つこどもの出発点は、すさまじいほど力にあふれクリエイティブです。 

 

今度はその力を健康に、そして安全で安心できる場所でご自分のために、遠慮なく使ってもらうことが重要となります。そのお力添えになれればと心理面談をしております。 

アダルトチルドレンの 5つのタイプ

アダルトチルドレンタイプ別診断 

  

1.ヒーロー型(英雄) 

高評価されなければならないと自分を完璧主義に追い込み過剰に頑張ります。親の期待に応える事や社会的評価を得ることに力を注いで行きます。才能豊かですが自分の感覚がわからず、評価がよかったとしてもその結果に不全感を感じます。 

 

2・スケープゴート(生贄) 

家族の関心を引くために問題行動を起こす子の役割。家の負の部分を背負い込む。このスケープゴートの立場の子が問題を起こし、周りの家族メンバーが「この子さえいなければいいのに」と幻想を抱く事で、家族の崩壊を防ぐ役割を担っています。問題を抱え非行に走ったり、家族の中での問題児的存在の子がこのタイプであり、実は家族の崩壊を防ぐ役割を担わされている。 

  

3・ロスト・ワン(いない子) 

家族の中で目立たず静かにふるまって、普段はほとんど忘れられている存在。家族問題から距離を取って、心を守るための行動である。家族内では問題にあふれいている中、このロスト・ワンの子は家族とは離れた距離感で存在している。 

  

例えば家族で兄弟が問題を抱え、その対処の為に両親が必死に問題解決に取り組んでいる最中、ロスト・ワンの子は一人静かに淡々と家族と距離を取りながら生活している。一見すると問題がない様にも見えるけれど、両親から関心を向けられないという情緒的ネグレクトの問題を抱えている場合も見られます。 

  

4・マスコット、クラン(道化師) 

道化師のような行動で家族間の緊張を和ませる存在。家族の目を問題からそらす役割を担っている。このマスコットがいる事で、家族問題を抱えた家庭内の緊張感は和らぎますが、家族内の機能不全や様々な心理的問題は正当化され、無意識下に継続されます。 

  

5・イネイブラー(支え手) 

他の家族メンバーに奉仕することで、自分の問題と向き合うことを避ける。家族の中で親のような役割をすることもある。第一子(長男、長女)がこうした役目になることが多い。夫婦間葛藤がある場合には「母親の支え手」として存在し、母子カプセル状態が生み出されることがある。それによる子どもの様々な問題(摂食障害、その他)が発生する事があります。 

 

アダルトチルドレン:恐怖と安心感の狭間で

自分自身に対する自己評価が低い事で、まわりが安心したり喜んだりするのを日常の中で漠然と知っているかもしれません。

  

「自己評価もこんな風に利用できるのか、なかなかクリエイティブな発想かも、、、?」と思えれば健康なのですが、自己評価を下げて、それを自分の安心感を得るための装置にしてしまうクリエイティブな思考形式をアダルトチルドレンは持っているかも知れません。

  

周りに「もう少し自信もってもいいんだよ」というセリフを言わせることは、相手が私よりも優越感を感じられます。 自分が自信をもたないと、相手は喜ぶ事ができるかも知れません。 

  

このように控えめにしていると煩わしいことにも巻き込まれず、とりあえずは世の中で安全に過ごせています。嫉妬が渦巻く人間世界と賢く距離を置くには、「自信をもたないフリ」をする事が必要だと思わせる恐怖を感じています。 「一体、何におびえているのかわかりませんが、、、、」 

 

謙虚でいると、周りはそこそこ正しいと思ってくれますし、社会の見えない暗黙の了解的なルールを破っていない人だと評価してくれるでしょう。 

   

また歩調を合わせ、控えめにし、かといって沈黙しすぎず、ほどほどに会話もする。 けれども人間は長く付き合うと私の嘘に気がつきはじめるから、適度に不健康でいることも大切になってきます。 

  

「無理がたたっちゃって!休んじゃった」 

「○○さん優しいから、たまには頼まれごとも断れないと、からだ壊しちゃうよ」 「ええ、ほんとにそうね!」 

  

何でも如才なくこなし、平均点かそれ以上をとり、あまりアピールせず、トラブルを起こさないのが自分と思い込まされ、嘘をついてまで周りに歩調をあわせている自分。 

  

・この嘘をつかせる起源はいったいどこから来たのでしょうか?

・この頑張らなければ許されない発信源は何だったのでしょうか? 

・信頼関係を信じられない思考を定着させられたのは何故だったのでしょうか? 

 

  

Who was born in the house full of pain? 

苦しみにあふれた家に生まれたのは誰だ?)

 

『Pink FloydのDogsの歌詞の一節より 作詞:Roger Waters』 

 

  

人を寄せつけない程の孤独と怒りが、 いつかみんなの前で暴露してしまったら、

 世界が終わってしまうような恐怖を日常生活の中で紙一重で感じる時があるかも知れません。 

  

地球を破壊しかねない原子エネルギーにも匹敵する隠れた力、怒り、才能、 この巨大な力をどうすればよいのか? 

 

どうも使い方を間違えているようです 。どうか正しい方向に向かってください。  

このようにトラウマ体験の恐怖は、怖がらなくてもよいものまで恐怖に掻き立てしまうかも知れません。

 

多くのアダルトチルドレンの方は、根底にトラウマの問題を抱えているかも知れません。 そしてトラウマ治療によって、他者の評価や嫉妬の恐怖から解放され、私らしく自由に生きていく事が出来るのです。

 

●ご興味のある方はこちらからご予約を頂けます。

 

 

【執筆者情報】

 大塚  静子

 

資格

  • 臨床心理士(NO:18162)
  • FAP療法上級資格取得

 

所属学会

  • 日本臨床心理学会
  • 日本ブリーフサイコセラピー学会
  • 国際トラウマティックストレス学会
     (International Society for Traumatic Stress Studies)

 

経歴

  • 2005年 アライアント国際大学/カリフォルニア臨床心理大学院 臨床心理学
    修士課程卒業
  • 2005年7月 アルコール依存症専門病院、周愛利田クリニックにて依存症治療に携わる。
  • 2009年7月 アダルト・チルドレン第一人者の斎藤 学先生がやっておられるIFF・CIAP相談室勤務。家族臨床、トラウマ治療について研鑽を積む。
  • 2014年7月 横浜にてカウンセリングルーム・グロース設立。
  • 2015年4月 浦和大学 総合福祉学部 非常勤講師 「心理療法」,「精神保健学」担当

 

研究実績

研究実績はこちらをご参照下さい

 

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