未分類 2024/09/27 (金) 7:02 AM
今日から学会がスタートしました。「お~!」って感じであります。
ジュディスハーマン先生が複雑性PTSDグループ主催でご講演をされるとの事で、「おっ!」って思って参加してみました。5年前の学会でお会いした感じでしたが、お元気そうでした。非常にパワフルな先生だなって事をやはり思います。
ジュディスハーマン先生がバンデアコーク先生と一緒に、この分野に取り組み始めた頃の事をお話をされていました。「境界例人格障害」と診断される方々の中に児童期性的虐待の既往がある人が顕著となり、それらの問題にフォーカスを当てた臨床を続けていたとの事でした。
そしてその臨床経験によって『父ー娘近親姦(Father-daughter incest)』 のご著書を書くきっかけとなったと言います。現在はWHOが発行しているICD-11で複雑性PTSDの診断カテゴリーが出ていますが、最初は診断名すら無い状態だったと言います。
その頃は、ようやく戦争帰還兵のシェルショックの問題が浮上し、トラウマの問題が問題視され初めていた時期だったと言います。(シェルショックとは、戦時中に兵士が罹患したPTSDの一種である症状を表現したもの。爆撃に対するストレス反応による、パニックや恐怖反応、逃避行動、理性の欠如、睡眠、無力感を引き起こす)
ジュディスハーマン先生は、これらのトラウマの問題は個人的な問題ではなく社会的枠組みでの問題であると仰っていました。これらの問題が注目されるにつれて、アメリカでは女性運動へと発展したと仰っていました。
先生は多くの性的虐待のサバイバーとお会いになって、その臨床に勢力的に取り組まれています。トラウマの中核は「恥」の感覚を抱えてしまうという事があるという事でした。その「恥」の感覚を手放していくには、グループでの治療が有効だったとの事でした。
そしてその回復のステップの中、サバイバーは「Acknowledgement(承認)」を求めるように行動していくというのです。つまり「恥」の感覚によって負わされてしまっていたトラウマの問題を、加害者に対し「重荷をお返ししていく事」を求めて行くのだと仰っていました。
先生のお話を伺いするにつれて、「納得だな」って事を感じます。トラウマを追ってしまう事によって、その一連の複雑性PTSDを初めとする様々な症状を抱えてしまい、それによって自由に生きる力を奪われてしまうと実感します。「問題に名前がない」という事によって、トラウマの問題の本質が見えなくなってしまう。それによって当事者の尊厳が守られないという事が起こるのかも知れないと思いました。
先生は、トラウマサバイバーの「本来あるべき姿」に光を照らし続けて来た先生だなと思うのでした。
【執筆者情報】
大塚 静子
資格
所属学会
経歴
研究実績
研究実績はこちらをご参照下さい
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