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コラム:リセット症候群

コラム   2022/12/21 (水)  4:37 PM

出会い」と「理想の私」がストレスな人たち:リセット症候群 

 

PCが原因不明で起動しない時など、シャットダウンや再起動をしなければなりません。 

 

便利な道具が使用できませんと、当たり前のことが当たり前でなくなります。当たり前ができないとイライラばかりが溜まってしまう、それが現代社会です。

 

例えば、wifiがつながらない、データ容量が多すぎて、PCの動きがおそい、メールが届かない、契約書や操作マニュアルが複雑、パスワードを忘れる、その他原因不明等々。

 

こうした脆弱性の上の私たちの価値観は、心と呼ばれるものが便利な道具の管理下にある状況を作っています。そのストレスから一時解放してくれる動作が「リセット」です。便利な道具に包囲された環境で、例えば以下のようなストレスを感じているとしたらどうでしょうか。 

 

 

㈰どうしても理想の私がちっとも実現できない 

 

㈪人との「出会い」がストレスで居心地が悪いを繰り返えす 

 

 

自分は生まれ変わりたいという願望はリセットやシャットダウン、再起動への憧れの念を強めてゆきます。梱包された箱から新品のスマホを起動しはじめるような感覚です。自分の可能性や楽しみがこの一歩からはじまり、試されるような、すがすがしい感覚です。

 

人間関係には多かれ少なかれ「あなたの見えないその部分を非力でも大切にしていますよ」という他者への思いやりがあります。「祈る」という行為は正しくそれにあたります。それは星の王子さまの「大切なものは目に見えないんだよ」を実践する関係かも知れません。 

 

しかし現代は、人間関係の思いやりよりも道具の手順の方が支配権を持ち、優先されてしまったような気がします。それ故、道具であるスマホのシャットダウンや再起動というリセット機能を生き方で実践しすぎるあまり、以下のような傾向が顕著となるのが、リセット症候群です。 

 

1.突如、過去の人たちと連絡を取らなくなる 

2.  SNSで今までのアカウントを削除し、

   新アカウントを作り直す 

3.  急な転職や転居が多い 

4.  音信不通にしている 

 

「出会い」と「理想の私」がストレスな人たち:リセット症候群の原因となりやすい人の特徴 

 

 

人間関係に疲れる原因は、以下のような心理状態に陥るときです。 

 

・人に恐怖や不安を感じる 

・異性に不快感が強いを感じる 

・誰も信用できない 

・しがらみを強く感じる 

・人の喜びのために演技しなければならない 

・いつまで人の期待に応えればよいのだろうか 

・他者は私の妨害ばかりする 

 

上のような心理状態が慢性化しますと、リセット願望は強まります。人間関係が地獄のように感じはじめます。 

 

●他人志向の私から脱却できない地獄 

自分は大事にされたことがない存在という感情をもっていると、自尊感情は低下します。そのままの自分が居心地が悪く、自分に使う筈のエネルギーを他者に注いでゆきます。しかし、人の喜ぶ顔を見るためにいつも出会う同じ人たちに、自分のエネルギーを注ぐ演技に疲弊しない筈がありません。突然の逃亡やリセットを考えたくもなります。 

 

幼少期からの家族機能不全によって、親の養育放棄や親からの虐待を受けた、いわゆるアダルトチルドレンの人たちは、他人志向の傾向が強い場合があります。 

 

当相談室のコンテンツ”アダルトチルドレン”はこちらから 

 

 

●完璧主義を手放せない地獄 

細部に強いこだわり持ち、マニアックを極めようとする心理は、人を驚かせ、振り向かせようとする心理が潜んでいます。そのこだわりによってアイデンティティを保持しようとしますが、誰からの賞賛ももらえないと、抑うつ状態や不機嫌が続き、人間関係をリセットします。見捨てられ不安や恐怖を回避するために完璧主義を演じている場合もあるかもしれません。 

 

 

「出会い」と「理想の私」がストレスな人たち:リセット症候群と聴きづらい私の声 

 

1.突如、過去の人たちと連絡を取らなくなる 

2.  SNSで今までのアカウントを削除し、

     新アカウントを作り直す 

3.  急な転職や転居が多い 

4.  音信不通にしている 

 

1~4の傾向に、「自分はこんなはずではない」という心の声が自分の頭の中にいつも流れていると、やはり生きづらさの問題がつきまとうかも知れません。

 

その心の声は、気にもならないけれど聴こうと思えば聴くこともできる、そんなスーパーのBGM程度の音響で頭に流れていますから、意外に聴き逃して意識を通過しています。今も聴こえていませんでしょうか。 

「出会い」と「理想の私」がストレスな人たち:リセット症候群と感覚麻痺 

 

「自分はこんなはずではない」という心の声は、心全体を包み込んでいます。 

 

生きづらさを感じる多くの人は、いつの間にかその声に忠実に従って生活してしまいます。そして、結果を出そうと四苦八苦しては、我慢と忍耐と無駄足ばかりで、「どうしてなんだろう?」と自分を嫌悪します。それは本来の自分という感覚を感じることができない状態かも知れません。

 

本来の自分が不明瞭で感覚麻痺していると、他者のこともよくわかりません。失礼な言動や相手への勘違いが多くなります。過去の失言や勘違いの経験がフラッシュバックして、羞恥心や後悔に襲われることが多くなりますから、対人関係に警戒心をいだくようになるかも知れません。

 

「あの時どうして私はあんなに恥ずかしいことをやってしまったのか、、、」 

 

「Lさんの服装のことで、なんて失礼なことを言ってしまったのか」等々。 

 

また、これとは逆に、他者を自分の目的達成のための便利な道具として利用することに罪悪感を抱かなくなります。当然、ヒトは寄りつきませんが、あっけらかんとかつて友人と呼ばれていた人のかわりをすぐに見つけてきます。 

 

当人はこの状況でも、「何か私がみんなに悪いことをしたのかな?」などという疑念すら持つことができませんから、孤立した状態が自ずとやってきます。それが高じると、孤立した自分の原因にすら気づけず、被害妄想のかたちをとって問題が表面化するかも知れません。

 

したがって、「自分はこんなはずではない」という自分の心の声を鎮静化して、冷静かつ正確な自己像を認識できるようにすることが、心理カウンセリングでの治療目標のひとつとなります。 

 

「自分はこんなはずではない」 

 

意外にもこの声の主は自分自身でないことがあります。それは他者の願望や期待だったりしますから、「自分はこんなはずではない」という声は、その持ち主に返上しなければなりません。 

 

そして「自分はこのままでもすごい!」と自分に言ってあげましょう。 

出会い」と「理想の私」がストレスな人たち:リセット症候群のデータ消去と記憶 

 

人間の記憶は認知機能が低下しない限り、過去という時間の中で消えることなく存在し続けます。PCのように完全にデータ消去が出来きません。出来ないどころか、「私はデータ消去したかった」というその願望は、皮肉にも記憶として脳の中に保存されてしまいます。 

 

自己の人格をリセットしたい心理は、いつの世にも人々の心理にあった筈です。それは更生とよばれたり、自己革命と呼ばれたりします。パン泥棒を働き、その後神父と出会って改宗し人格者となってゆく『レミゼラブル』のジャンヴァルジャンも、高利貸の老婆を殺害して社会と自己をリセットする手段にした『罪と罰』のラスコーリニコフもそうですし、ギリシャ神話の数々の悲劇が天空の星座として美談のように結末を迎える話などもリセットのひとつでしょう。現代では、整形手術や顔を書き換えるアプリもリセット心理のひとつに数えることができるのではないでしょうか。 

 

「データ消去のように完全に過去を消去したい」 

 

こうした願望の起源には必ず心理的抵抗や拒絶が働きます。そこに気づかれては都合が悪くなる人たちがいたり、それを振り返ると強度の羞恥心や恐怖でパニックに陥りかねないことを本人が漠然と知っているからです。 

「出会い」と「理想の私」がストレスな人たち:リセット症候群とトラウマの問題 

 

リセットすれば過去は消えてくれる筈という願望の起源には、少なからずトラウマの問題が隠れています。 

 

・親からの虐待 

 

・養育放棄だった家庭環境 

 

・親から評価をいつも気にしていた 

 

・とにかく親が心配で自分は二の次 

 

・容姿をからかわれた 

 

・かわいいや美しいに過剰に執着して一日が終わってしまう 

 

・異性には期待に応えなければという不安とストレスで脅かされている等々 

 

自我がトラウマに支配されますと、過去-現在-未来という時間の流れが滞り、過去が支配権をもった心理状態となります。現在の今ここにいる自分の状況や能力、知識、感情や知性は過去の不快な恐怖体験や羞恥心、屈辱感によって支配されます。現在が損傷してますから、当然、自分本来の力を有効活用して未来へ向かってゆくことができなくなってしまいます。

 

どうしてパフォーマンスがあがらないのだろうか、これだけ熱心にやっても結果が伴わない、自分は頭が悪いんだ、という歪んだ認知によってトラウマは今もあなたの能力を凍結させているかもしれません。 

 

リセットの起源(トラウマ)には必ず心理的抵抗が働きます。そこに気づかれては都合が悪くなる人たちがいたり、それを振り返ると強度の羞恥心や恐怖でパニックに陥りかねないことを本人が漠然と知っているからです。 

 

けれども、それに負けじとリセット症候群の人たちは、このトラウマの呪縛から解放されようとリセットと繰り返しますが、時間が経過しても現状はかわらずじまいで、無益なリセットを何度も繰り返してしまいます。 

 

当相談室でご提案させて頂くトラウマ治療(FAP療法)は、暴露療法のような苦痛の伴う心理療法ではなく、共感性の脳神経細胞のミラーニューロンを心理カウンセラーが活性化することによって、クライエントの方の緊張や不安、恐怖のレベルを緩和させる心理療法です。 

 

トラウマが現認の恐怖や不安、緊張した体のこわばりや怒りの問題を、心理カウンセラーが催眠によって共鳴することで、「本来の私の感覚」と「わたしが~したい」を呼び覚まします治療をモットーに、皆様に寄り添っております。 

 

●ご興味のある方はこちらからご予約を頂けます。

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