児童期性的虐待のトラウマと回復 2026/02/11 (水) 4:38 PM
2月らしく肌寒い季節となっていますね。寒い季節でありますが、庭には野菜達は元気にしています。
また児童期性性的虐待の論文を読み進めました。Barbara Kraheら(2023)の研究についてでした。
児童期性的虐待の問題を抱えてしまう事によって、その後思春期、青年期に性的再被害、性的攻撃性が高くなるという主旨の論文です。
児童期性的虐待の問題によって思春期、青年期なって性的攻撃性、性的再被害などの問題を抱えてしまう事についての研究。
児童期性的虐待はのちの性的攻撃、性的再被害の問題に派生してしまうという事が述べられている。これまでの研究では女性の性的被害、男性の加害についてフォーカスを当てている研究がある中、北アメリカ以外の地域における研究は不足している現状がある。
今回の研究では児童期性的虐待によって再び性的被害や性的攻撃性の問題を引き起こしてしまう事について研究をしたい。
ドイツの大学生588人を対象とした。参加者のうち女性は308人。研究期間は23ヶ月であった。全参加者は性的攻撃、性的被害に関連する質問紙に答えてくれた。児童期性的虐待の経緯があったのは、男性(12,4%)と比較し女性(20.8%)のほうが有意に高かった。
女性の中で14歳までに性的再被害にあった率は60.9%であった。その後、第二期では22.3%、第三期では14.1%が性的再被害にあっているとしている。男性における性的再被害にあった率は14歳時点で39.2%、第二期で15.9%、第三期で14.1%であった。
女性の中で14歳時点までに性的攻撃傾向のあった者は10.6%, 第二期では3,5%、第三期では3.6%であった。男性では14歳時点で性的攻撃傾向があった者は18.0%、第二期で6,2%、第三期で3.8%であった。
性別によって差異があったのは第一期の14歳時であった。児童期性的虐待を受けてしまう事によって、性的攻撃性と性的再被害が14歳時点で顕著であった。男女の性別では関連性がないとしている。
今回の研究は先行研究と同じ結果となった。児童期性的虐待を受けた経緯のある思春期、青年期の対象は性的攻撃性、性的再被害の問題を抱えてしまう確率が高くなるという研究結果となった。
この論文を読んでいますと、いかに児童期性的虐待のトラウマ治療が非常に重要かという事を実感します。トラウマの記憶と感情が整理されていない事から、性的再被害と攻撃性がの問題が高くなってしまうという事が考えられるからです。
児童期に性的虐待を受けた経緯によって、トラウマの影響によって人生を如何ともしがたく破壊の方向に転じてしまうという、非常に理不尽極まりないトラウマの現実も実感致します。
本来は性的虐待を受けた事は、当事者の問題でもない事。だけれどもそのトラウマを受けた事が過去の事として整理されていかないと、その後の大切な人生において人生が破壊の方向に転じてしまう事が起こってくるのです。
「幼少期からご自分がどんな人生を送って来たか」。そして「その人生におけるトラウマがどう、現在の自分の心に悪影響を及ぼしているのか」を認めていく。
そうしていく事でご自分を責める事なく、そして本当の意味でご自分を許していく事ができるのだと思います。トラウマの過去が整理されていくと、次第にトラウマによる破壊ではなく「再生と希望」の人生を送っていく事ができるのです。
【参考文献】
Barbara Krahe et al.(2023).Pathways from childhood sexual abuse to sexual aggression victimization and perpetration in adolescence and young adulthood:a three-wave longitudinal study.Journal of Psychotraumatology.14-2.
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ご興味のある方はご参照下さいませ。
【執筆者情報】
大塚 静子
資格
所属学会
経歴
研究実績
研究実績はこちらをご参照下さい。
著書
『甦る魂』はこちらをご参照下さい。
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