複雑性PTSD 2025/11/12 (水) 4:31 PM
今日はとても天気が良い感じでした。銀杏並木では美しい黄金色の葉っぱが輝いていました。「秋だな~」って感じであります。
日々、様々な方々の回復される姿を拝見しています。それぞれがご自分を大切にされながら、私らしい楽しい世界を構築されていらっしゃるなって事を感じます。「個性溢れる姿は素晴らしいな~!」って事を感じます。
当相談室では家族問題を背景とする様々な問題についてご相談をお承りさせて頂いております。トラウマの問題は「今」を生きる上で、多くの「生きづらさ」になってしまうという事を実感します。
世代間連鎖についての興味深い研究を読みました。Ratel Bachem(2024)らの研究であります。内戦のトラウマを負った母親(127人)を対象とした研究でした。その母親達の子供は問題を抱え、子供のための治療を求めていた方々でした。
母親達はトラウマによる複雑性PTSDとPTSDを抱えており、複雑性PTSDを罹患の内94.5%は鬱を併発、PTSDのうち48,5%が鬱を併発していたと言います。
母親の全体数の23.6%は複雑性PTSD、26%がPTSDを抱えていたと言うのです。母親の抱えるトラウマの症状(PTSD, 複雑性PTSD)のレベルが高いほど、子供の症状を抱えるレベルが高いとしていました。
つまり母親自身が抱えるトラウマの問題は、子供の精神的問題に影響を及ぼすという事でした。非常に興味深い研究だなって事を思いました。そして臨床現場でも非常に納得だなって言う事をケースを通じて実感します。
トラウマの問題は耐え難い苦しみを乗り越えるために、「解離」と言って感覚を切り離して対応するという事があります。しかしその解離という方法を用いながら、その過酷なトラウマを乗り越える時、そこには複雑性PTSDやPTSDの症状を抱えてしまうリスクが伴うという事を感じます。
また家族を背景とするトラウマの場合、「子供」という立場から自立する事が難しく、結果トラウマを長期間受け続けてしまうというリスクもあると感じます。
Mary-Anne Kateら(2021)は幼少期の虐待の問題が大人になってからの解離性障害の問題に発展すると述べています。特に解離性障害は性的虐待を受けた人に見られると述べています。
トラウマに対し、それを乗り越えるために自分の感覚を解離させて対応し続けていたけれど、それらの経験が「トラウマ」となってしまった場合、否応がなく次の世代に影響を及ぼしてしまうという「ジレンマ」がここにあるのだと感じました。
それがトラウマのジレンマであると実感します。そのような否応がなく経験せざる得なかったトラウマを、安全な形で短期間でに解決していける方法というのが本当に必要であると、これらの論文を読んでいく時に実感致します。
当相談室では、スーパーバイザーの大嶋先生が提唱している、短期で安全な形で効果のあるFAP療法を用いながら、トラウマ治療をご提案させて頂いております。非常に優秀なトラウマ治療であると実感しております。
ご自分が否応がなく背負ってしまったトラウマを手放していく。そしてご自身が本来ある人生を取り戻して生きていかれる。そうしていく事で、大切な次の世代の人達に素敵な「何か」が伝わっていくのかも知れません。
【参考文献】
・Mary-Anne Kate et all:Childhood Sexual,Emotional, and Physical Abuse as Predictors of Dissociation in Adulthood, published online,2021.
・Rahel Bachem et all: Complex posttramatic stress disorder in intergenerational trauma transmission among Eritrean asylum-seeking mother-child dyads, European Journal of Psychotoraumatology , 2024.
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ご興味のある方はご参照下さいませ。
【執筆者情報】
大塚 静子
資格
所属学会
経歴
研究実績
研究実績はこちらをご参照下さい。
著書
『甦る魂』はこちらをご参照下さい。
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