複雑性PTSD 2025/08/31 (日) 3:20 AM
今日もアナハイムは朝から快晴です。この場所はディズニーランドが近くにあるのですが、昨日は花火が打ち上げられていました。
こちらにいますと時間があるので、少し複雑性PTSDの論文を読み進めていました。
Oswald D. Kothgassner(2025)らのPTSD、複雑性PTSDの問題を抱える思春期の人達を対象としたストレス反応についての研究でした。
14歳~18歳までの52人の思春期の人達を対象とした研究でした。52人の内訳としてPTSD 17人、複雑性PTSD18人、統制群 17人でした。トラウマを語る状況下で心臓の心拍、ストレス、恥の感覚、罪悪感のレベルを比較検討した研究のようです。
その結果として複雑性PTSDはPTSD、統制群と比較し顕著にストレス反応、恥の感覚、罪悪感のレベルが顕著に高く、結果として感情の不安定さやネガティブな自己観の側面で問題を抱えてしまっていると述べていました。
そして最後に複雑性PTSD治療では、この感情の不安定さや恥、罪悪感を中心としたセラピーが必須であると述べていました。
この論文を読んで何となく思いました。複雑性PTSDの問題として考えられるのが、世代間でトラウマの問題が伝播してしまうという事だと思いました。複雑性PTSDの問題を抱えた思春期の人達が、この感情の不安定さや恥、罪悪感などの問題を抱えた中、大人に成長して家族を作っていく。
その際、これらの3つの問題を抱えていた場合、それらがどう次の世代の子供との関係に影響を及ぼすかと考えた時、「どのようにこの複雑性PTSDの問題を乗り越え、次の世代に影響を及ぼしていく事を防げるか?」という部分は非常に大切な要因だと実感しました。
親自身が感情が不安定な状態で、自己肯定感の問題を抱えてしまっている。それらは親自身が幼少期のトラウマによる問題から派生してしまっている。それは如何ともしがたい問題。
しかしその親の子供の立場としては、安心した家族の中で子供時代を過ごせない状況に陥ってしまう。そして子供の立場の人がトラウマを再び負ってしまう事で、次の世代にトラウマが伝播してしまう悪循環が起こってしまう事が考えられるのでした。
臨床現場では、師匠の大嶋先生がご提唱しているFAP療法を用いながら、トラウマ治療を進めさせて頂いております。これまでクライアントの皆様のご協力と大嶋先生のご指導の元、複雑性PTSDの問題に対する統計的研究をさせて頂いております。それぞれの研究結果は短期間に複雑性PTSDの問題が改善されている事が結果として出ていました。
幼少期のトラウマから派生する複雑性PTSDの問題に対する有効なトラウマ治療だと実感しながら、日々さまざまな方々のトラウマから回復される姿を拝見しています。
それぞれがトラウマの過去を手放し、そしてこれからの私らしい未来を作っていけるトラウマ治療だと感じています。そんな事をフト思うのでした。
【参考文献】
・Oswald D, Kothgassner et al(2025) Stress reactivity during short trauma narratives in adolescents with post-tramatic stress disorder (PTSD) and complex PTSD. European Journal of Psychotraumatology.
・大塚静子, 大嶋信頼,複雑性PTSD (DSO) に対するFAP療法を用いたトラウマ治療研究,第39回国際トラウマティックストレス学会,ロスアンゼルス,2023
●ご興味のある方はこちらからご予約を頂けます。
【執筆者情報】
大塚 静子
資格
所属学会
経歴
研究実績
研究実績はこちらをご参照下さい。
著書
『甦る魂』はこちらをご参照下さい。
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