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『複合性PTSDに対するFAP療法の有効性について』

未分類   2019/11/18 (月)  10:17 PM

ボストンで開催された国際トラウマティックストレス学会に参加していました。

ポスターセッションで「複合性PTSDに対するFAP療法の有効性について」という題目で発表致しました。

 

大塚 静子, 大嶋 信頼, 複合性PTSDに対するFAP療法の有効性について,第35回国際トラウマティックストレス学会, ボストン,2019

(Shizuko Ohsuka, Nobuyori Ohshima: On the Effectiveness of FAP Therapy in Complex PTSD,International Society for Traumatic Stress Studies 35th Annual Meeting, Boston,2019)

 

今回は2回目ですが、FAP療法を用いた治療効果の研究となりました。

「複合性PTSDに対しFAP療法がどんな風に有効か?」という内容の研究テーマでありました。

 

統計的研究の中で、見えて来たことは私自身が臨床の中で感じていた部分とリンクする感じがありました。FAP療法による介入で、トラウマを示すテストスコア(PCL-S)は臨界値(健康のラインと問題を抱えているラインの分岐点)を下回っていました。

 

そして日常生活の適応レベルを測るテストスコア(GHQ12)は、カウンセリングをスタートするを時の値よりも下がっていましたが臨界値の基準よりも高い結果となりました。

 

そのテスト(GHQ-12)結果では集中力のスコアは改善したけれど、眠りの問題、そして人生を生き生きと生きるという項目のスコアが低いという結果が出ていました。

 

またトラウマを測るテスト(PCL-S)では、再体験のスコアが上がっていました。

面接の数が増えれば増えるほど、自分の感情が感じられるという結果となっていました。

 

これらの事からFAP療法はトラウマ治療に有効であり、またトラウマの問題に特徴的な感覚麻痺状態が改善されるのではないかという結果が見えてきました。

 

しかし一方日常生活の適応レベルを測るテスト(GHQ12) では、眠りや抑うつ的な影響が浮上するという結果となりました。依存症などの問題を抱えているケースについては、依存症の症状が改善された後、抑うつ状態や不眠傾向等の問題を抱えるケースがありました。

 

それらの事から依存症などの問題を抱えている場合、FAP療法の介入によって依存症の問題が解決する事で抑圧されていたトラウマの問題が浮上し、その事によって抑うつや不眠などの問題が現れるのではないかと考えられた。

 

複合性PTSDの治療を考える時、クライアントの適応を維持しながら進めていく事が非常に重要となって来ます。

 

ジュディスハーマンが回復の3段階説で提唱しておられる事は、第一段階として「安全な環境を整える」という事でした。第2段階として「過去を振り返る」という作業を行って。その後、第3段階として「人間関係の再構築」という作業に入っていくものです。

 

認知行動療法などの療法では、過去のトラウマにまつわるエピソードを面接場面で語っていくことによって、トラウマによって解離していた記憶と感情を統合していく作業を行っていきます。それによってトラウマにまつわる症状(フラッシュバック、感覚麻痺)などの問題から解放されるというものです。

 

しかしトラウマを語ることは、トラウマを再体験する事と同じ事であるというリスクが伴ってくるのです。クライアントの適応を維持しながら、その作業を行っていくことは非常に難儀である事が考えられるのです。

 

それについてはFAP療法を用いて介入する事によって、これらの問題をクリアすることが考えらえるのではないかと考えられました。

 

今回の研究では平均面接回数が11回と短期間でした。短期的治療においてトラウマを示す指標(PCL-S)は臨界値以下となり、またトラウマの特徴である解離の問題から解放されるという事は非常に複合性PTSDに有効であることが研究と通して考えられました。

 

第35回国際トラウマティックストレス学会のポスターセッションの研究で見えて来た結果であります。

 

幼少期からの長期的なトラウマを抱えるクライアント達が、楽に安全に自由になれる治療法であると思います。

 

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